ゲーム配信!1
予告通りに今日はゲーム配信やるか。
というわけで早速バトロワ系FPS『Gan and Ghost』、通常GaGを起動する。
GaGはバトロワ系FPSの中でもかなり変なシステムで有名だ。バトロワ系ってのは100人が縮小するフィールドの中で物資を奪い合って最後の1人になるまで戦うあれな。
ヘルメットや防具がなければヘッドショットで即死、たとえ防具が揃ってたとしてもそこまで人体は頑丈じゃねぇよと言わんばかりに弾があたれば一瞬で命が飛ぶ。
そんな一瞬で死ぬ仕組みだと流行らないだろと思うかもしれないが、なんとこのゲームには死後がある。
プレイヤーは死んだ時点で持っている装備、キル数、生存時間などをポイント化し、そのポイントによってランク別のghostになる。
このghostの性能がすごい。全くポイントがない状態で死んだ最弱のゴーストでも壁抜け、移動時は音がないというとんでもない利点がある。遠距離武器は使えず近接攻撃しかできないが、そもそも人間はghostには勝てない。体力が違いすぎるからだ。
人間時は吹けば飛ぶような命だったカスどももghostになると強烈な硬さになる。しかも人間を殺すとランクアップし、さらに強力なghostになっていくのだ。
──そう、ghostには基本的に人間は勝てないのである。これ作ったやつ馬鹿じゃねぇの?なんで流行ってんだ、と思うが実はこのゲームは人間対人間ではなくghost対ghostの戦いなのだ。
ghost同士が潰しあって最後に生き残ったghostが勝ちであることもそれを証明している。
つまりこのゲームは『脆い人間の身体を捨ててからが本番』のゲームである。怪物に人間は勝てないのだ。ははは。
気に食わねぇよな。
俺が全部めちゃくちゃにしてやる。
というわけで配信開始。
「うーい聞こえてる?」
:始まった!
:うおおおおおおおおおおお
:霊能力あるって本当?
:詐欺師が来たな
:インチキ霊媒師www
:早く占ってみろよ
:犯人脅して自白させたってマジ?
:インチキおじさん登場〜
いいね〜人が多い。
疑ってかかってるやつが多いのもナイスだ。本物にとって疑いは全く問題にならない。
「否定的な書き込みしたやつ、上から順番に行くわ。歯磨き粉お前は16歳の時に友達ぶん殴って絶縁したことをいまだに後悔してるたらこ唇は見つかったら一生世間に顔出せないようなフォルダを素材用.zipに隠してるトリオトリオは幼馴染の凛子ちゃんと付き合ってると思ってたのに実は他の男と普通にできてて結婚したことをまだ引きずってる俺だ結婚してくれー!は蛸壺」
:うおっ早口
:高速詠唱
:なんだよ蛸壺ってwww
:ごめんなさい
:マジかよ
:BSSくんかわいそう
:寝てからいえ定期
7割。信じたな。まあ今できることはこんなもんか。
「俺は今日お前らの人生覗き見しに来たわけじゃねーんだよ。普通にゲーム配信させてくれや」
:そういやゲーム配信だった
:応援してます
:占いとかしてくれないの?
:やらせだろこんなもん
:どうやってんのこれ
:何のゲームやるん?
「今やらせと言った泥沼くんは1週間前にずっこけて犬のフン踏んづけた後水溜りにインしてドロドロになりました。可哀想ですね〜!今日やるゲームはGaGだ」
:かわいそう
:散々やね
:名前通りでよかったね
:フン沼
:GaGってあの開幕即死戦法流行ってるクソゲー?
:これ本当ならやばすぎない?画面越しでこんなにみえるもんなの?
:どっちでも面白いからええぞ
「その開幕即死戦法流行ってるゲームやるぞ」
:あれ殺したやつがghostになった執拗に後追いかけてくるのクソすぎる
:殺されたんだからそりゃやり返すだろ
:人を呪わば穴二つ
:呪われてるのはどちらかというとこっちなんだよな
「このままだといつまで経っても始まらないから早速スタート!やるぜやるぜやるぜ〜」
言葉と同時にマッチングを開始する。お、一瞬で集まった。人気のゲームは人口多くて助かるね。
「さーて降下開始だな」
:やっぱ即死すんの?
:まあゲーム性的に強いよな即死
:頑張って生き残って高ランクghostになるより低ランから餌人間ども殺して高ランになった方が楽だからな
:一応最後らへんまで人間状態でいることが条件の超高ランクもいるけどまあ基本無理だわな
「俺が何やるかは見てたらわかるさ」
というわけで強いアイテムが集まる激戦区にダイブ!
:お、いきなり激戦区行った
:どうせ白旗どもで溢れてんのに
「白旗ねぇ」
ここら辺は武器多くていいな。助かる助かる。降りてった奴らも多いが……
降下してからすぐに移動しつつ装備を漁る。おっ強めのショットガンあるじゃんラッキー。
:このゲーム始めて長いの?
「いや今日が初日。人の動画は見てたが」
:動画勢かよ
:の割には動きいいな
「俺天才だからね。おっと」
人間いたわ。しかも3人。全員お互いのことが見えてるのに装備漁るのに夢中だな。
:あっ白旗どもだ
:アイテムだけ集めて殺された後ghostになる動きひでーよな
:天才てw
「うむ。皆殺しじゃ」
3発の銃声が鳴った後、3人の人間が死んだ。我ながら完璧なエイムで惚れ惚れするわ。
:は
:マジか!
:なにやってんの
:エイムうま
:いやこんなもんghostに囲まれて終わるだろ
死体がぐにゃり、と周りの空間ごと歪んでいく。肉塊となり、霊魂となり、そして悪霊へと変質していく──
そして3人のghostが生まれた。
三人とも同じ姿。薄汚い白い布を羽織り、腹がぼってり膨らんだ小さな小鬼。
:やべぇ三人とも餓鬼だ
:良い装備拾ってたなあいつら
:終わったな
:あーあどうすんのこれ
:天童先生の次回作にご期待ください
「ここからここから」
ひっくり返すさ、俺が全部。
殺された三人の餓鬼が喜びを全身で表現しながら俺を追いかけてくる。あいつら速いんだよな。
基本的にghost相手に壁は意味がない。通り抜けてくるからな。その上であいつら物理的な破壊できるのクソだよクソ。
餓鬼の攻撃手段は鋭い爪による引っ掻きと飛びついてきての噛みつき攻撃のみ。噛みつきは当たったらほぼ即死だ。鬼畜難易度たまんねぇ〜。
とりあえず適当な家に入り、銃を構える。さあ追いかけてこい。
:家の中逃げ込んでどうすんの?
:壁抜けてきて終わりだべ
:〜糸冬〜
あいつら壁抜けられるけど別に壁の中は見えないからな。付け入る隙があるとすりゃそこだ。
はーい凄い勢いで壁から侵入してきた餓鬼の目の前でショットガンをヘッドショット。死にはしないけど明らかに怯んだので続けざまにヘッドショット。まず1匹終わり。
:は???
:何今の
:ウォールハックしてらっしゃる?
:このゲームやたらチートに厳しいからそれはない
:何で入ってくるところがわかったんだ……?
「壁抜けられて強靭な肉体を持ってる間抜けがどこら辺から侵入してくるかなんて丸わかりなんだよ」
はい次。裏側から飛びつき奇襲を仕掛けてきた餓鬼にヘッドショット。そのまま横にスライドするように動いて飛びつきを交わしつつ続けて横っ面にヘッドショット。2匹目〜。
:なんで!?
:裏からの奇襲かよ
:完璧に捌いてる……
:こんな速さで動いてる相手にヘッショ決まるか??
:だから何でわかるんだよwww
:うおっすげぇキャラコン
分かるんだよ。化け物が何考えてるなんて俺には全部わかる。
さ、最後だな。今度は一対一で正々堂々やろうぜ。家の外に出た後、待ち構えていた餓鬼が飛びついてくる。みんな即死だいちゅきでちゅね〜!
当たり前にヘッドショット。この程度反応できないわけないだろ馬鹿が。後ろに吹っ飛んだ衝撃を利用して餓鬼が近くの壁に隠れた。壁の中に隠れてまた奇襲すんの?お前ら芸がねぇな。
10秒、20秒、静かな時間が続く。32秒だろうな。はいそこ。後ろの家から飛び出してきた餓鬼の顔面を撃って終わり。
「化け物になったからって無敵になったわけじゃないんだよな」
:うおおおおおおおおおお
:マジでチート使ってないの?
:ゲームうっま
:頭以外打てないんか?
:餓鬼ってヘッドショット2発で死ぬんだ雑魚じゃん
:いや、ショットガンだからだなこれは 近距離で弾がばらける前にヘッショ決めてるから死んでる
:もっと硬いイメージあったからそうだよな
:化け物が人間に勝てるわけないんだよね
「さーて。化け物はぜーんぶ殺すぞ〜」
本当に強いのはどっちなのか教えてやるよ。
「こんな早い時間にghostのキルログ?それも3体立て続けに同じ人が……」
「……この試合、面白くなりそうね」
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