ダンジョンを作ろう
@bloodyEyeGlasses
ウィンストン戦 黒龍戦
第1話 0ー1 転生しよう
自分がどうやって死んだのかは知らない。
気づくと光り輝く女の前にいた。
神々しい冠、色素の薄い肌、髪、目、ほとんど半裸と言っていい、グラマラスな体に布を軽く羽織った状態で玉座につき、足を組んで俺を見下ろしていた。
いや、俺達だ。女の前に男女問わず並んでいる。女が何かを質問し、羊皮紙に書き込むと、一人一人、消えてどこかへ行く。
目の前のイケメンの番になった。
女は露骨に喜んでイケメンを手招きした。
イケメンは、彼自身も何が何だかわからなかっただろうが、玉座の横に座らされ、女に抱きしめらるようにしながら何か話していた。
「この大陸のこの国に転生して、そうねカードはこれと、これと、あん♡これもあげちゃう」
女から5枚のカードと、キスを受け取ってイケメンは消えていった。
俺の番になった。あ、女のパンツが見えた。黒だ。
正座で地べたに座り込んで目の前の女をじっと見つめる。
「ぶっさ。」
「失礼すぎるだろ。」
女は吐き捨てるように言うと羊皮紙と羽ペンを用意した。そして質問する。
「私は女神ヴィヴィーナ。
あなた転生しないわよね?」
「転生したい。」
ヴィヴィーナは舌打ちして何かを書き込む。
「世界なんて救いたくないわよね?」
「救いたい。」
「じゃあスローライフは送りたくないわよね?」
「送りたい。」
「どっちだよ。英雄になんてなりたくないわよね?」
「なりたい。」
「じゃあ魔法は使えなくていいわね。」
「使えた方がいい。」
「欲しがりか。チートスキルでハーレムなんか考えてないわよね?」
「最高じゃん。」
「怠惰か。高貴な血筋とか財産とか欲しがらないわよね。」
「両方欲しい。」
ヴィヴィーナは羊皮紙から目線をこちらに写し、蔑むように、憐れむようにこちらを見た。
「あなたは求めすぎました。
次の中から1枚カードを選んでダンジョンクリエイターの魔物として転生してください。以上。」
「え、雑すぎるでしょ。」
「さっさと選んでー私だって忙しいんだからー。」
さっきのイケメンと偉い違いだ。
いつの間にか目の前にターンテーブルが現れていて、ヴィヴィーナが深いため息と共にそれを回した。
テーブルには大量のカードが乗っていた。カードを覗き込む。
二回攻撃とか、毒攻撃とか、暗闇攻撃とか、炎を吐くとか書いてあるが、どれもパッとしない、説明文も長い。というかどんなものかわからない。文を読むのも面倒くさい。
「ちなみに、転生しなかったらどうなる?」
「しらないよ。
さっさと選んでよぉ。この後推し活あるんだからー。」
ヴィヴィーナは爪を磨きながら答えた。
俺は尋ねる。
「だいたいダンジョンクリエイターってなんだよ?」
「ダンジョン作って冒険者のレベリング、リスキリングを手伝ってね。あんたは冒険者の引き立て役になるの。」
「ひでぇ話だ。」
この女イライラする。爪をふーと吹いて足を組み替える姿も二重の意味でイライラする。
「あ、その変身カードとかおすすめだよ。
どんな魔物にもなれるし人間の姿も取れるし。」
俺は一枚のカード、変身のカードを選んだ。
まあ、しょうがないか。
「これで転生する。」
と言うとヴィヴィーナは、ニタァと笑った。
「オッケー、頑張ってね。
そのカードレベル1の間は10分も持たないし、ドラゴンになろうともミジンコになろうとも自分の体積以上にも以下にもなれない外れカードだけど、
ま、じゃーねー」
「こいつ!騙しやがったのか!」
と怒って拳を振り上げても遅かった。
次の瞬間には緑の手足、ぽっこりお腹の体になっていた。申し訳程度に腰巻きを巻いている。そんで森の中にいた。
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