探偵レストラン『シレンジオ』
COOLKID
プロローグ
東京、某区にて。
梅雨の時期も明け、ジメジメした空気もすっかり乾き切るような季節が始まりました。
世間一般で言われるところの夏という季節に置いては、太陽は大親友なのであり、そしてそのエネルギーを受け取って暮らしている生物の大半は、精力的に生を謳歌するものでありましょう。
しかしながら、どうやら人間というものはなかなかに頭のお狂い申した生き物でして。
生命の休息の時であり、太陽が地平線の向こうに隠れてしまう夜中においても、文明のある町中では―特に東京なんかの都会においては―まるで三時のおやつにチョコクリスピーを前にした、六歳児のような様子の顔がいっぱい。
自分の欲望や目的に一直線に道路を闊歩する人影が、足音を響かせながら闊歩しているのです。
ほらここにも。一つそんな様子の顔がいらっしゃいますよ。ガヤガヤと騒々しい人混みの中、皆が向かう方向に対して直角に曲がった、瞳の輝きが。
その先にあるのは光源である電灯で同じく照らされた、シックで少々お洒落な建物。
黒く塗りつぶされたコンクリートの壁。そこに立て掛けられた樫の木のドアに、吸い込まれて行こうとしています。
…ここは一つ、彼…もしくは彼女かわかりませんが、跡を追って中を覗き見ちゃいましょうか。
もしかしたら面白いお話が、始まるかもしれませんからね。
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