第3話:なに?妖怪って。

「この古民家ももう古いのよ」

「いつ壊れるか分かったもんじゃないし・・・引っ越したいけど行くところ

なくて・・・」


「そうだな・・・この古ぼけた古民家、崩壊まで時間の問題かもな」


「あのさ、壮太君と会ったのもなにかの縁じゃない?」


「まあ電話ボックス覗いたの俺だからな」


「このさいだから、ここ引き払って壮太君のお家について行っていいかな?」


「え?・・・俺んちに?」


「私を連れて帰ったらいいことあるよ」


羅利子拝らりこっぱいはじめて会った壮太が気に入っていた。


(取り憑いちゃおうかな)


「ついてっちゃダメ?」


「どうなんだろ・・・君みたいな女の子をいきなり家に連れて帰ったら

親父とお袋がなんて言うか・・・」


「街でナンパしたって言えばいいじゃん」


「ナンパって・・・」


「あのね、このまま私をここに放って帰ったら壮太君、一生後悔するよ」


「そんなこと言われると置いて帰れないじゃん」


「私ほんとは、ずっと一人で寂しかったの・・・もう何十年もどこかのお宅に

取り憑いてないから・・・」


「取り憑くってなんだよ?」


「そのまま」

「それに私、壮太君のこと気に入ったし・・・もしかしたら恋心目覚めたかも」


「え〜早くね?」


「一目会ったその日から恋の花咲く時もあるって言うでしょ?」


「それにしたって・・・」


「彼女になってあげてもいいし・・・」


「まじで?」


「私みたいな女タイプじゃない?」


「いや・・・君は充分イケてると思うけど、ビジュアルだって飛んでるし」


「壮太君今、付き合ってるギャルいる?」


「いないけど・・・」


「だったらじゃ〜いいじゃん・・・妖怪の彼女なんてレアだよ」


「よ・ようかい?・・・妖怪って言った?・・・なに?妖怪って」

「妖怪ってあの妖怪・・・水木しげるさんの漫画に出てくるような?」


「そのような・・・私、座敷わらしなの」


「座敷わらし?・・・それなら俺でも聞いたことあるわ」

「なんか旧家とか蔵の中なんかにいて家の人に幸運をもたらすって妖怪

聞いたことあるけど・・・」


「正解・・・でも私をないがしろにしたら不幸貧乏になるよ」


「ね、私行くとこないし・・・壮太君、私を大事にしてくれたら」

「きっといいことあるから・・・」

「もしかしたら私とエッチできるかもよ?」


「うそ・・・まじで?・・・いいなそれ」

「でもさ・・・座敷わらしって、もっとこうなんて言うの?」

「髪はおかっぱで、市松人形みたいなんじゃないの?」


「よく知ってるね」


「なんか本屋で日本のミステリースポットとかって雑誌で読んだことあるし」


「あのね、時代は変わってるの、壮太君」

「妖怪だって変わるの」


「今時ってわけか」

「分かった羅利子ちゃん・・・俺の家に連れて帰るよ」


「羅利子ちゃん?」


「時代は変わってるんだろ?今時だよ羅利子ちゃん」

「たった今から君は俺の中では羅利子ちゃん・・・そう呼ぶから」


「ん〜まあいいけど」


「ほんじゃま、行くか、親父とお袋は説得するよ、街でナンパしたってね」


ってことで座敷わらし羅利子拝らりこっぱいは壮太の家について行く

ことになったのです。


つづく。




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