時を超えた天空都市
mii
蛍の独白
明日は18歳の誕生日。おばあちゃんがいなくなって、もう10年か。
いつも一緒に過ごしてきたあの時間も、今は遠い過去になってしまった。
現代では意味を失った古代魔法の本を読んだり、鍛錬を積んだりしてきた。誰もが無駄だと言ったけれど、私は信じていた。
すべては、あの空に浮かぶ都市、エレシアに行くために。おばあちゃんが話してくれたその伝説が、私の指針だった。誰も信じない夢だって分かっている。でも、明日、ついに出発する。
何度この空を見上げたか分からない。皆が笑う伝説に過ぎないとされる、あの空に浮かぶ都市。けれど私は信じている。エレシアは実在する。かつて世界を照らし、栄光をもたらしたその都市が、今も静止して漂っていることを。
おばあちゃんが話してくれたあの物語を、今でも鮮明に覚えている。目が遠くを見つめるように語るあの声。その瞬間だけ、私はその都市が本当に存在すると感じられた。500年前に時間が止まり、世界から隔絶された幻の都。
エレシアの真実を知りたい。何があの都市を止めたのか。止まった時間の中に、何が隠されているのか。誰も気づかない中で、私はこの10年間、一人で準備を進めてきた。魔法を学び、試行錯誤を重ね、ルナーヴィルの村が残した歴史の知識を頼りに、自分の力を信じて歩んできた。すべては、この日のために。
エレシアには答えがある。なぜ時が止まったのか。そして、私にできることは何なのか。もしかすると、誰もが見過ごしてきた真実が、そこに眠っているのかもしれない。おばあちゃんが伝えたかったことは、あの都市の謎だけではない。そこに私自身の運命が織り込まれている気がする。
私の心の中で止まっていた時計が、ようやく動き出そうとしている。教えられた魔法、そのすべてが、今この瞬間のためにあったのだと。あの空に向かって、私は旅立つ。必ずエレシアにたどり着いて、すべてを解き明かす。たとえ誰が何と言おうとも、私は自分の道を進む。
明日、エレシアの扉が開かれる。そして、私の旅が始まる。何が待っているのかは分からない。恐れも不安もあるけれど、それ以上に胸の高鳴りを感じている。エレシア、私を待っていて。私は、止まった時間の中であなたに会いに行く。
時を超えた天空都市 mii @mii08310
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