幻の王国、北海道

西山鷹志

第1話 幻マ王国 クーデター北海道占領

 真田麻由美は自宅のマンションで寛いでいた。

 久し振りの休暇でテレビをつけっ放しで、パジャマ姿のまま気楽な独身生活を楽しんでいる。二ヶ月ぶりの休暇で、しかも五日間の休暇とあれば気分は爽快である。鼻歌交じりで朝食の準備をしていた。朝食は自分で作るが昼と夜は殆ど外食だ。

サラダは二種類のレタスに好みのドレッシングを掛ければ完成。自慢する訳ではないが今日の朝食も絶品だ……とは言っても作ったのはハムエッグのみ。パンはトースターに入れるだけ、珈琲はインスタントでお湯を注ぐだけ。朝食はこれで十分だ。

独身だし誰にも文句を言われない。もっとも彼氏がいたら一生懸命作っただろうに……いや女だからと言って何故自分が作ってあげるのか、それなら料理好きの彼を見つければ良い。と訳の分からない事を呟きながらコーヒーを啜る。出来上がったトーストとハムエッグ、サラダを並べた時だった。


テレビの画面に緊急速報のテロップが流れると、間もなく。通常番組は中断され報道特別番組の画面に変わった。さぁ食べようかと思った時だった。麻由美はテレビに注目し,音声のボリュームを上げた。

『臨時ニュースを申し上げます。情報によりますと北海道で重大事件が発生した模様です。ただいま北海道全域に装甲車、戦車等が街を包囲、自衛隊員や警察官が銃を持って監視し更に新千歳空港始め各空港と港が自衛隊と警察により封鎖された模様です。繰り返します。本日二月二十六日に北海道で何か大変な事が起きたもようです。繰り返します。只今、北海道で……』

テレビの画面には街の真ん中に戦車や装甲車が何台も並び、周りには武装した自衛隊が銃を持っていた。まるで映画のようなシーンだ。しかし特別報道番組は現実である。

 麻由美は手に持っていたコーヒーが、毀れるのも気がつかないまま立ち尽くしてテレビに釘漬けとなった。

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