第7話 仲直り
夜、佐藤家で健太郎は美野里の前にひざまずき許しの許しを乞うたが、美野里は聞く耳を持たず、健太郎の顔も見なかった。りなは美野里に「お母さん……私も許したんだしお母さんも許してあげてたら」と言った。すると美野里は黙って部屋を出て行った。
「大丈夫、お父さん。こうなったら根気よくやり続けるしかないよ!」
「そうだな」
健太郎は家事から始め、料理、買い物などりなから教わって積極的に家事を手伝った。そして夜は工事現場で怒鳴られながら仕事を続け、日当を持ち帰った。その夜外出から戻った美野里は食卓にある健太郎の料理を見ても持ち帰った日当を見てみも反応はなかった。だが、それが1ヶ月続くとある朝、健太郎が食卓へ行くと朝食は食べられ美野里のメモが残っていた。
「毎日、家事をしてくれてありがとう。それとご飯……美味しかった」
健太郎はりなの部屋へ駆け込んで半分寝ているりなに抱きついた。
会社で大輔はたけしが成績が向上したことを真面目に考えていた。そして美野里を呼んでたけしが家でどんなふうに勉強しているのか尋ねた。だが、美野里は答える事ができなかった。
「まぁいい。ところでりなちゃんは進学するのか?」
「ええ、本人は東大の経済学部志望です」
「そうか、経済学部か……ありがとう。りなちゃんによろしく伝えてくれ」
宮本家でたけしと勉強するりなだっだが、りなはるみのことが気になっていた。
りな(M)「そう言えばあの子。名前なんだっけ? ちゃんとお礼も言わなかった。名前すら聞いてない。ちゃんとお礼をしたいのに…… 」
たけしの携帯に次々とラインのメッセージが来る。
「こら! 勉強中にはスマホはきりなさい!」
「ごめん」
たけし、ラインの内容を確認する。
「え!?」
「どうした?」
「いや……るみちゃんが不登校になったみたいで…」
「るみちゃん?」
「ほら、モデルの」
たけし、スマホでるみの写真を見せる。
「ほら、谷崎るみちゃん!」
「あ! これだ!」
「お? ガリ勉のりなでも知ってたか」
「その人モデルだったの? 今どこにいる?」
「不登校だからわからないよ」
「じゃ、知り合いにでも聞いでみて」
「なんでそんなに気にしてんだ?」
「いや……彼女とは縁があってお礼がしたいんだよ」
「え!? 僕も一緒にいつてもいい? 」
「いいけど……」
たけしのラインに新たなメッセージが来た。それはまさみちの転校の話だった。その時たけしの表情が硬くなった。
「? どうした?」
「いや、友人が転校するって……」
「友人? 前に来てた人?」
「そう、まさみち…あいつ、連絡ぐらいよこせっつの」
家庭教師仕の仕事を終え、帰宅したりなを待っていたのは他ならぬ
谷崎るみだった 。
「あ! るみさん?!」
「よう!」
「聞いたよ、不登校だって……何があった?」
「母と喧嘩しちゃって今家出中……っで君のお父さんに頼んでしばらくお世話になることにした」
健太郎、あんこ菓子とお茶を持ってりなに渡す。
「この間はありがとう……おけげでお父さんと仲直りできた」
「いいよ、私もお父さん好きだし」
「……るみさんのお父さんは?」
「うん……って言うか。昔、離婚しちゃってさ……」
「……そうなんだ」
「うん、だから今どこにいるのかもわからないんだよね……母は父さんの居場所を教えてくれないし……」
「……何か力になれることがあったら言ってね。協力するから」
「ありがとう」
「るみちゃんがいるって本当か?!」
りなから連絡をもらったたけしは大急ぎで佐藤家に駆けつける。それでるみを見たたけしの目はハートになった。
「……本物だ……どうも私立寺東高校3年C 組宮本たけしです !」
りなとるみは同時に呟いた。
「何……こいつ?」
「ごめんねるみさん……こいつなんかあなたの大ファンみたいで」
「うん、それは見ればわかる」
「あ、そう言えばまさみちと連絡取れた?」
「いや、あのバカ俺の連絡無視しちゃってよ。会ったら一発殴るわ」
「まさみちがどうかした?」
「あれ? るみちゃん知らないの? まさみち転校すること……」
「いや、初耳だけど……彼、今どこにいるの!?」
「さぁ、連絡取れないから……」
たけしは首を横に振る。
「なおこはどうした?」
るみはなおこが心配になる。
三人は互いの顔を見合わせた。
たけしはりなに尋ねる。
「お前、なおこと友達なんだろう?」
「友達‥‥‥なのか?」
たけしに決めつけられて戸惑うりな。
「彼女の連絡先しらない?」
「知らない……」
りなはなおこの事を他の二人同様何も知らなかった。
りなの携帯に知らない番号から電話が来る。りなが出るといきなり泣き声が聞こえた。なおこだった。
佐藤家のりな、たけし、るみの集まりになおこが加わる。なおこは、必死にまさみちの行き先をさぐっていた。るみは学校へ押しかけて確認するしかないと提案。一同はそれに従った。
学校の職員室に押しかけたりなたちはまさみちの担任を探し出しまさみちの居所を尋ねるが個人情報だからと教えてくれなかった。るみは先生のカツラを剥がすと脅迫したが、先生はガンとして教えてくれなかった。なおこは必死に職員室のPCを操作しまさみちの転校先の情報を探し当てるが、全て暗記する前に警備員に追われ逃げ出した。
数時間後、りな達は大阪に行った。
なおこが暗記したのは八尾市までの住所までで、そのさきは手分けして探すことになった。
更に3時間後、りな達は案を練り直す。るみがまさみちの写真と「この人を探してくれたら5万円をあげます!」とインスタグラムにアップをした。すると八尾市でるみのファンが動き出した。そしてるみのインスタを見た中村優馬(47)も動き出した。
るみはインスタグラムから次々とDMが来たがほとんどまさみちとは関係がない質問ばかりだった。それから30分が経ち、中村優馬からDMがきた。るみは父の名前を覚えでいた。一瞬「お父さんなの?」と思うが、同名異人かもしれない。るみはまさみちの引越しの写真を受信して優馬にお礼だけを返信した。りな達は優馬が送ってくれた写真と住所を頼りにマンションへ着く。
なおこはまさみちに抱きついて泣き始める。
「まさみち会いたかったよ!」
「なおこ? 君たちもどうやってここに……」
るみはまさみちのほおを打った。
「何も言わずにどっか行くんなんて! あんた何か格好でもつけたいの!? このバカやろ!」
「そうだよ。俺たちも心配をしたんだから」
「なんで何も言わなかったの?」
りなは素朴に疑問を投げつけた。
「……ごめん……みんなに心配をかけたくなかったからなんだけど逆に心配をかけたね」
「全くだよ」
なおこは泣きながら微笑んだ。
みんなが仲直りをしている時にるみは町を歩きながら優馬にDMを送っていた。
DM「優馬さん、ありがとう。この近くに住んでいます? お礼を渡したいんですけど……」DMを返す。その背後から懐かしい声が聞こえた。
「お金なんていいですよ」
振り返るるみ。
「お……お父さん?」
「……あぁ、久しぶりだな。会いたかったぞ」
るみは優馬の胸に飛び込んで泣き始めた。
その頃、りなはまさみちに本心を聞く。
「それでまさみち。あなたはどうしたいの?」
「どうしたいって?」
「戻る気はない? 東京に」
「……戻りたい。東京に」
「そう、ならあなたがやるべきことはもうわかっているわよね?」
「あぁ、お父さんと話をする。みんなありがとう」
荷物を取りにきた智が来る。
「友達か?」
「お父さん……話がある」
まさみちは父を説得をし、東京へ戻って一人暮らしをする許しを得た。
るみと智は見つめ合う。
まさみちは東京へ行くことをみんなに知らせる。それを知ったりな、たけし、そしてなおこは大いに喜んだ。
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