第10話

「陽菜、おいで。寝よう」


煙草を灰皿の上に置いて、スマートフォンも充電器につないで、ベッドの端に避ける


優しく笑う鳴海に根負けして、本にしおりを挟んでベッドに近づく


「陽菜は小さくてかわいいね」


「ちょっと太ったよ」


「別にそこは気にしてないよ。

もっと健康的な体形にならないとね」


膝の上に乗せられ、抱きしめられながら、静かに頭を撫でられる


鳴海の手は私を殴らないし

鳴海の足は私を蹴ったりしない

鳴海の口は私を傷つけない


大丈夫、お母さんとは違う

気を使わなくていいから

安心できるから

鳴海のそばに居るのは心地が良い


「陽菜、好きだよ」


「私も、鳴海の事好き」


ベッドに2人寝転がって、瞼を閉じた

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