ノック
天川裕司
ノック
タイトル:ノック
最近困ってることがある。
それは隣のクレーマー。
昼夜問わず、
部屋のドアを思いっきりどんどんノックしてきて、
私が困るのを見て喜んでるようだ。
最近ではもう私が怯えるのを見て喜んでるようで、
多分警察に言ってもこれは解決しないかも。
そんな時、唯一の救いは友達。
美代子「やっほ♪遊びにきたよ〜」
高校から一緒の友達で、
近くのマンションに住んでいたから
私のアパートまでよく来てくれる。
私は思いっきり美代子をもてなしながら、
日頃の不安や恐怖を少しでも紛らわせ、
そして少しでも長く部屋に居てもらおうと
いろいろ話題を振る。
美代子も隣のクレーマーの事は知っている。
美代子「最近どう?」
「う〜ん、前より頻度は落ちたみたいだけど、それでもねぇ…」
美代子「早めに警察に連絡したほうがイイよ?」
「うんわかってる」
クレーマーの男は最近、
夜に帰ってくることが多いらしく、
前みたいに昼間にドンドンして来るのは無くなった。
でも暇を見つけては来る感じでもあったので、
安心できる状態にはない。
そして翌日も美代子は遊びに来てくれた。
「ホントありがとね」
美代子「何言ってんのよ♪来たいから来てるだけよ」
この日は久しぶりにゆっくり談笑できた。
「でも男ってさぁ、女の色気に弱かったりするし、色仕掛けで迫っちゃったら、嫌がらせもやめてくれたりするかなぁ?w」
美代子「何言ってんのよ!そんな事したら余計危ないわよ」
「そうかなぁ〜やっぱり」
美代子「当たり前じゃない。そんな事したら襲ってくるわよ」
「え?そうなの」
美代子もその昔、
クレーマーに悩んでた時期があったらしく、
そのとき部屋に乗り込んできて
襲われかけた事もあったと言う。
美代子「あんなのはねぇ、自分の思い通りにしたいだけなんだから。断固、対抗しなきゃダメなのよ」
「なるほどなぁ。…やっぱりそうよね」
私も半ばノイローゼ気味になってたんだろうか。
そんな当たり前の事すら
分からなくなってたなんて。
そして美代子は帰った。
でも美代子が帰ってすぐ後に、
ドンドン!!ドンドン!
とまた思いっきりドアを叩く音がする。
「ひっ…!ま、また…」
隣のクレーマー男だ。
でも「断固、対抗しなきゃ…!」
と言う美代子のアドバイスもあったので、
私は勇気をふるって玄関のドアを開けた。
「もうやめて下さい!これ以上すると警察を呼びますよ!」
それを言ってやろうと思って。でも…
美代子「ごめんごめん!忘れ物しちゃった」
キーホルダーを部屋に忘れてたらしく、
それを取って、美代子はまた帰っていった。
(風呂場へ行く)
「……美代子はああ言ってたけど、色気に弱い男って結構居るのよね。…ねぇ、あなたもそうでしょ?」
「…でも、まだ私を悩ませるの?そんなになってまで」
動画はこちら(^^♪
https://www.youtube.com/watch?v=ORbWra1trSI
ノック 天川裕司 @tenkawayuji
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