第28話

“近藤です。藍原さんになにかありましたか”


この言葉でわかってしまった。

私達家族以外は

楓凪が病気であったという事実を知らないと。


“あの‥楓凪はどんな理由で

退職していきましたか”

 

“別の仕事を見つけたと聞いてます”


“近藤さん。あなたに会いに来た理由は

これを渡したかったからです”


1枚の手紙を差し出された瞬間

僕の思考が停止し始めた。


〈もしかして‥‥いや、嘘だ。

そんなわけがあるわけない。

昨日、藍原さんと会った。

だが悪いところなんてわからなかった。〉


“17時に仕事が終わります。

お線香をたてに伺っても構いませんか”


“ありがとうございます。

楓凪も喜びます。

お気をつけてお越しください”

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