第16話

その日の夕方電話をかけた。


“もしもし藍原さんどうした?勤務変更とか?”

退職を知らない彼は

いつも通りのテンポで話してくれて

心地がよかった。


『突然の電話すみません。

勤務変更ではないんです。

あの、急で申し訳ないのですが

本日をもって退職することになりました。

短い期間でしたが、一緒にお仕事ができてよかったです。ありがとうございました。』 


“・・・。えっっ?残業多くてツラかった?

俺、自分ひとりで残業すればよかったのに

藍原さんの優しさに甘えてしまって‥申し訳なかった。”


『近藤さん、それは違います。

むしろ、残業一緒にできて楽しかったです。

退職理由は転職なので気にしないでください。それと、、せっかく誘っていただいた映画、、

行けなくなってしまいすみません。』


“気にしないで。ゆっくり休んでください。”


『ありがとうございます。

近藤さんも身体に気をつけてください。』

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