第3話

夏から秋に変わる頃

新しい先生が来るという噂が流れていた。


神永樹かみながいつき31歳、脳神経外科医。*専門医を目指しているらしい。それで今回がうちの病院になったという。


どんな人だかはわからないけど

病棟は違うし接点はないと感じて

その噂は聞き流し深入りすることもなかった。


スタッフ専用入り口付近に

1本のイチョウの木が植わってる。

幹が太くとても大きいから

長くここに植わっているのだろう。


その木に近付いたところで

スーツを着たひとりの男性がいるのに気づいた。その人は片手にコーヒーを持ち、立っていた。


出勤する様子も急いでいる様子もなかった。

近くのサラリーマンで、会社に早く着き過ぎて時間潰しをしてるかもしれないと思いながら

タイムカードをきったのだ。


*専門医.. 最短4年をかけて1年ごとに病院を変え

経験をつむ。診断•救急治療•手術•リハビリ等に

総合的•専門的知識と診療技術を持つ。

また他の専門医への転送判断も行える能力を備えた医師。

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