第11話

葵が入院して2ヶ月が経とうとしていた。


病室でたい焼きを食べながら笑い合っていた時


「ねぇここ。僕の話聞いてくれる?」


わたしはなんだろうと疑問に感じた。

"他に好きな人ができて冷めた"

とか言われないかハラハラしていた。


『どうしたの?』


「僕さ、心にずっと黙ってたことがあるんだ。」


『なぁに、怒んないから話してみん。』


深呼吸し彼は話し始めた。


「僕は生まれつき心臓が弱いんだ。

高校からいままでなんの症状も現れなくて安心してた。

そしたら突然呼吸が苦しくなって...気づいた時はここにいた。

2ヶ月も入院してる理由を今日の検査後に聞いた。

持病の心臓病からの心不全を起こしてるって。

もう手の施しようはなくて...長くて僕の寿命は2ヶ月だと。」


そこまで聞いたわたしの頭は整理がつかず

うそ。の2文字しか浮かんでこなかった。


『大丈夫だょ。一緒に病気よくして先生驚かせよう!』


いちばん辛くて悔しいのは葵だ。

私が泣いてちゃいけない。


今日の面会の時間は終わってしまった。


当たり前に明日も会えると思っていた別れ際の

また明日。

そのコトバを伝えることがあと何回あるだろう。

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