第9話 幸せは突然に
ミコゼー達はその後、リムサ・ロミンサに食事に行くということになり、スピユリにも一緒にどうかと誘われた。
「スピユリは私の舎弟だからね。奢ってあげるわよ」
ミコゼーは冗談交じりで言うと、スピユリのマーセナリーな髪をぐしゃぐしゃと触った。
「全くミコゼーは〜 あ、スピユリさんさえ良かったら、御一緒しませんか?今日のミコゼーの失礼のお詫びもありますし。あれだけ動いたら、お腹も空くでしよ?」
アメリアンスさんはスピユリに対しても、母親の様な顔をして言う。
「あ、でも俺、マナーとかそういうの分からないし、皆んなに恥かかせたりしたら嫌だなぁ」
スピユリが困った顔をしてそう言うと、アリゼーがスゴい剣幕で怒った。
「そんな風に思ったら、絶対に駄目!皆んな平等だし、私はスピユリお兄ちゃんを、恥ずかしいとか、絶対に思わない!」
アリゼーはスピユリに、優しい顔をしてるのだが、口調は激しかった。
「わ、分かったよ、有り難う皆んな。あ、親父、俺、ミコゼー達と食事して来てもいいかな?」
暗黒騎士のミコッテは、何とも嬉しそうな顔をして、アメリアンスさんに向けてお願いした。
「是非こいつを連れて行ってやって下さい。こいつは親が居なくて、ここの皆んなで親代わりをしてたんですが、出来たら貴方みたいな人に、親代わりになってもらいたい」
アメリアンスさんは、おっとりしていた表情から驚きの表情に変わって、スピユリに向けて家族の一員にならないかと提案した。
「いや、俺はもう、自分で生きてく事は、自分で決めます。でもアメリアンスさんが、そう言ってくれるなら、皆んな俺の友達になってくれませんか?」
スピユリは、ちょっと照れながら、でも困惑した顔をして言った。
「なんて顔してんのよ!まぁ、あんたは私の弟分みたいなもんなんだから、あんたがどう言おうが、今日から家族の一員よ」
ミコゼーはそう言うと、スピユリにイチゴ牛乳を差し出した。
スピユリは恥ずかしそうな顔になると、ちょっとミコゼーから目線を逸らして、イチゴ牛乳を受け取った。
ミコゼーはそのスピユリの態度が面白かったのか、笑顔満面にして大きな声で笑った。
アリゼーとアルフィノが、そんなミコゼーに不満気に言う。
「何で何時も、お姉ちゃんが決めちゃうのかな〜 私達だって、言いたいことあるんだからね」
アルフィノのより先にアリゼーが、少し悲しそうに不満を漏らした。アルフィノは、アリゼーの言葉に何か付け加えて言う事はせずに、頷いた。
「あ、ごめん。そうだよね、何時も私、勝手に決めちゃってたよね。アリゼーやアルフィノだって、言いたいことあるよね」
ミコゼーは驚きながら、2人に素直に謝った。
「分かればいいのさ。姉さんはこれからは必ず、俺達に何でも隠さずに話す。ミコッテだとか、そういうの気にしたりは、絶対にしないで!あ、スピユリもそうだよ」
新たに家族として加わったスピユリと、ちょっと他人行儀にしてたミコゼーに、アルフィノは少し偉そうに言った。
「有り難う、アルフィノ。でも俺は、アリゼーを嫁さんにしたいから、家族になるなら、アリゼーを嫁さんにしてからかな」
スピユリは嬉しそうな顔をして、アルフィノに答えてた。
アリゼーはスピユリの言葉に顔を真っ赤にしながら驚いて、何も答えられずに、下を向いてしまった。スピユリは冗談交じりで言うのでなく、真面目な顔で言ったからである。
「あんた、そういうのは、もうちょっとアリゼーと付き合ってから言うもんだと思うんだけど。ていうか、いつからあんたは、アリゼーの彼氏になったの?」
ミコゼーは半ば呆れながら、スピユリに言った。
スピユリは何故かアリゼーが、嫁さんになってくれるのが当然と思ってしまったようである。なのでちょっと考えてから、アリゼーに交際を申し込んだ。
「あ、アリゼー。いきなりで驚いたと思うけど、友達から付き合うってのでどうかな?俺まだ女の子と付き合った事無いし、答えとか、直ぐで無くていいから…」
それを聞いたアリゼーは、耳まで真っ赤にして、半ば怒りながらスピユリに答えた。
「そ、そういうのは、2人の時に言うものなの!それに結婚とか大事な事は、スゴく私にとって大事な事なんだから、皆んなの前で言わないで!!」
するとアメリアンスさんは楽しそうな顔をして、皆んなに向けて言った。
「まぁまぁ、結婚とかは、お父さんが許してくれるかが、一番の難関なんだから、まだ2人で盛り上がるのは先だと思うわよ。私は応援するから頑張りなさい」
皆んな一斉に、忘れてた事を思い出したような顔になって、更に皆んなで困った顔になった。
「確かに父さん、アリゼーを溺愛してるから、先ず許すとか、考えられないわね〜」
ミコゼーがそう言うと、アリゼーがほっぺたを膨らませて怒った。
「私が好きな人は、私が決めるの!!お父さんには絶対に、口出しとかさせないんだから!」
「あれ?ミコゼーの好きな人は、スピユリという事で決まったの?」
アリゼーはアルフィノの言葉に癇癪を起こして、ポカポカとアルフィノの肩を叩いた。
「そ、そういうのじゃないし、お父さんに私の事を、勝手に決めさせないって事だし!!」
まぁ、この話の流れは、作者の勝手な妄想なので、アリゼー嫁勢の方々は、それぞれ幸せな未来を想像していきましょう😂
てな理由で、ミコゼー達家族とはこれから先、お父さんのフルシュノさんは別として、スピユリは幸せに楽しく過ごしていくことになるのでした。
続く
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