第40話

2階にあがり、廊下の端から自分の教室の方を見る。


月明かりによって照らされた廊下はどこか遠く、無限に続いているのではないかと思うほどで、まるで自分が異世界にいるように感じさせた。




私は急いで自分の教室に行くと、引き戸を開ける。




…ってか、開いちゃうんだ。


今更ながら教室は完全下校したら施錠されるものだと思ってたんだけど。




まぁ、いいか。と呟き、私は自分の机の中を漁り始める。




私:

あれ?おかしいな…

確かここに…




あ!あった!!


ファイリングされた願書を確認すると、私は鞄の中に丁寧に仕舞った。




私:

…もうこんな時間だ。

早く帰って願書仕上げないと明日中に出願できなくなっちゃう。




誰に言うでもなく、そう言って教室の扉に手をかけると、また何か聞こえた気がした。




私:

…。




思わず身を固くして、自分の意思とは裏腹に耳を研ぎ澄ませてしまう。

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