第8話

私が葉立さんの話に相槌をうっていたら、不意にチカが口を開いた。




奈近:

ふ~ん…何か面白そうじゃない。

―はた、私達も見に行こうよ!


私:

えぇ?!だって七不思議の1つなんでしょ?




驚いて私が反論すると、チカは少し呆れて私をなだめてくる。




奈近:

はたはホントに怖がりなんだから…。

大丈夫、遠目から見る分には何も起きないよ!


私:

…でも―。




実はこの時、私はチカが想像したような、怖いとかそういう感情はそれほど感じていなかった。

…どちらかというと、好奇心の方が勝っていたくらい。


でも…別にたいした理由も無いのに、本当に何となく、そこに行かない方がいい気がした。




奈近:

行こうよー!

…ね?ね~?




考えあぐねている私を見て、チカは駄々をこねるという作戦に出たようだ。


…まぁ、本当に遠くから眺めるくらいなら、いいかな?

まだお昼だし、何か起こりそうだったら、すぐに離れれば問題ないよね。




私:

…分かったよ、遠くから見るだけね?


奈近:

やった!じゃあ行こっ☆




私が許しを出すとチカは嬉しそうに笑い、片付けておいた空のお弁当箱を持って屋上の扉の前まで行くと『早く、早く!』と、急かしてきた。


私も急いでお弁当箱を片付けて、チカのあとを追うと、後ろから声が聞こえてくる。




光行:

…柄畑さんが行くなら俺も行こうっと!




こうして私達は3人で噂の祠を見に行くことになった。

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