第1章 業報の祠

非日常の始まり 【夏穂side】

第1話

お昼休みを告げるチャイムが鳴り、先生が日直に号令をかけさせると私はお弁当の用意を始める。


―と、同時に私の机の所に焦げ茶色の髪が腰位まであり、かっちりとした細身の黒ぶち眼鏡をかけている背の高い女の子がやってきた。




奈近:

はた、お昼一緒にご飯食べよう!




話しかけてきたのは沼田奈近(ヌマタ ナチカ)。

私、柄畑夏穂(エバタ ナツホ)の親友で幼稚園から中学までずっと仲がいい。

彼女は私のお姉さんみたいな存在で、私はそんなしっかり者の彼女のことを"チカ"と呼び、私は"はた"と呼ばれていた。




私:

うん、いいよ。チカもお弁当だよね?


奈近:

そうだよー。


私:

じゃあ…今日は暖かいから、屋上で食べようよ!




私がそう提案すると、チカは嬉しそうに頷く。




奈近:

そうね、そうしましょ。

…その方が面倒なのに絡まれる心配もないし。




チカはあたりを警戒するように目をやるが、問題はなかったようで、すぐに私の手を掴むと屋上へ向かって歩き出した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る