第18話 新装備の活躍かと思ったらラッキースケベ回でした

 再度確認するようでアレだが、忘れてはいけない。

 オレの魔法はポイントを消費しないといけない上、製作者が誰か知らんが色々困った副効果リスクがある。


 例えば【ダークナイト】のダガーの『竜骨』は何故か呪われており、使用者の性格を暗殺者みたいなシリアスキャラにしたり、抑えていても攻撃的で興奮状態にさせる傾向がある。……他にもありそうで怖いが(汗)。


 そう、呼び出せる装備には何かしらのがある。

 製作者は違うと否定して笑顔で『創作はロマンだっ!』とか口にしそうだが、オレはもはや嫌がらせとしか思っていない。


 だから手に入れた三つの【トライデントシリーズ】も当然疑っている。


『こいつはすげーぜ〜トウヤー』


 とか言っているミヤは全然当てにならん。

 流石にダークナイトで学んだわ。登録しても軽い持ちで使おうとはしなかった。

 一応装備の簡単な詳細は聞いているが、間違ってもぶっ付け本番みたいな真似はしない。


 そう、しない。しないったらしない。絶対しない!

 ……本当だからね?(*フラグ確定の瞬間です)





『本当に使うのー? ぶっつけ本番は絶対しなーいって言ってたけどー?』


 ふふふっ甘いぜミヤ! オレが何も考えてないとでも?


『その妙な自信がかえって不安なんだけどー』


 大丈夫大丈夫、三つの中でも一番安全そうなで戦うから!


『これはフラグではなかろうか』


 どこかミヤが呆れている気がするが、オレは気にせずマジックアイテムである例のキーホルダーを取り出した。


 キーホルダーは全部で三つ。

 それぞれ異なる色と形をしている中、オレは青のハヤブサを選んだ。


「【トライデントシリーズ】装備コール。【ファルコン・アーマー】――読み込みロード!」

読み込みロード開始―――【ファルコン・アーマー】装備』


 装備していた武装が変わる。

 青魔力が覆われてまた姿を現すと、オレの姿が青い武装スタイルに変わっていた。


「別の姿に! まさか新しい魔法を!」


 勘違いして驚いている雪奈に警戒しつつオレも自分の状態を確認する。

 見た目はダークナイトに近い軽装の青い鎧(サングラスも青い)。

 だが、背中には水色と青色が混ざった金属の翼が折り畳まれて付いている。


 武器は左右の腰に付いている二本爪のような形状の短剣。

 こちらも刃が水色に染まっていたが、ダガーのような禍々しい気配はしないので呪いの類の武器ではなさそうだ。たぶん。


『【ファルコン・アーマー】はその名の通りハヤブサをイメージしたものー。だから走る時や飛ぶ時は気を付けてねー?』


 なんて注意事項を聞いた後、この武装チェンジを黙って見ていた雪奈に向き合う。


「待たせな。こっからが本番だ!」

「別にいいわ。その状態の貴方次第では待った甲斐があったと喜ぶことにするから」


 なら、是非とも止めればよかったと後悔させてやる!

 まずは性能具合を測る為の肩慣らしとして間合いを詰めようと脚に力を入――


「いっくぜぇぇ―――えええええええええ!?」


 として、超加速した!?

 一瞬で雪奈の間合い、というか本当に目の前で距離を詰めてしまい……ってなんでだぁァアアアアアア!?


『あれまー、だから忠告したのにー』


 全然止まらねぇぇえええええ!?

 ていうかこのままだと――マジでマズい!!


「ふご!?」

「は、はや―――いっ!?」

「ふが!?(や、やわらかい!)」


 って……あ、あらー?


「「(・_・)」」


 え、えーと胸(あんまり大きない)に顔面を押し付けてしまった。


 言うなれば『顔面ダイブ』。


『ぶっっ!? ネーミングダサ』


 ミヤが吹き出してる。まぁ色々言いたいが、それより目の前はどうなってんの?


『みゃ〜?』

「ふ、ふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふっ(にこり)」


 あ、察した(汗)。

 くすり笑がここまで怖いと思ったことはない(怖)。


『骨は拾ってやるぜー』


 え、もう逆転なし? 終わり?

 せっかく新しい装備を試したのに。


「そんなに胸が好きなら今からタップリ楽しませてあげる。―――氷像に変えてあげるわ(絶対零度な瞳)」


 あ、無理ですねこりゃ。

 結局、女の子抱き締められた所為で、身動き取れなかったオレは雪奈のお胸(たぶんギリBくらい)に中で氷の像と化したのだった。


『ほんとダメだこりゃー』


 呆れたミヤの声にオレもその通りだと心の中で頷いた。



おまけ キャストトーク

ミヤ「以上、壱村冬夜の残念回でしたー」


冬夜「そんな回に参加した覚えはねぇ!」


雪奈「もしくはラッキースケベ回かしらね、冬夜君?(零度な眼差し)」


冬夜「誠にすみませんでした(土下座ポーズ)」


ミヤ「だらしないねー。そこはダイブした感想を言うべきところでしょー?」


冬夜「手頃なサイズにも柔らかさが――いやいや何言わせようとしてんの!?」


雪奈「よく分かったわ。まだお仕置きが足りないようね?(氷がキラキラ)」


 また新たな氷像ができたのは言うまでもなかった。



◯作者コメント

 装備名をちょっと変えました。

 新しい装備にやはり問題がありました!(笑)

 胸にダイブはもうお約束展開ですよねー。他の装備の時は何が起こるやら。

 ちなみにファルコンの装備は速くて飛べるけど、コントロール出来てないといきなり急発進しちゃう系。

 しかも飛ぶ際は酷いジェットコースターみたいな感覚に襲われるので酔い止めが必須!

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