55.アイリスの手紙
シャギーたんへ
あなたがこの手紙を呼んでいる頃、もう私はこの世に居ないでしょう…なんてな!
一回やってみたかったんだけど、どうよ。
まあ実際ね? 生きている限りこの手紙をシャギーたんに渡す気はないので(恥ずいから)、もし読んじゃってるなら、死んじゃってるなあ。
このところ、検索がポンコツになってて、役立たずでごめん。なのに、自分の死が予見できるのだからどういう仕様かと思うよ。シャギーたん、次に女神様と会うことがあったら私のこの謎能力について聞いておいてくれる?
色々ね、自分なりに動いてはみたんだけど、アイリス・サングイネアの検索結果から死亡の文字が消えないの。
言わなくってごめん。
フォールスさんの救出で大変な時に推しの悩みごと増やしたくなくてさ。でもまあ、うん、ごめん。
カルミア教がなんで私を殺したがってるのかは推測なんだけど、私のこの未来視が邪魔なんじゃないかってこと。
決して万能ではないなりに、実際この能力があって、あの戦場にスパイク・ウィンターヘイゼルを連れてきた側面もあるわけだし。まあ、お茶会で聖女を告発するのは失敗しちゃったけど。
そんなことよりも。
知っておいてもらいたいのは、菊ちゃん、あなたにとても感謝をしているということです。
私がこの世界について願ったのは、推しであるシャギー・ソルジャーに幸せになってもらいたいということです。
それは菊ちゃん、あなたの記憶によってきっと叶うと思うの。
というか、もう叶ってると言ってもいい。
あなたがその根性でめっちゃ頑張るから、周りの人がみんな応援して、手を貸してくれるんだよ。今受け取ってるのは今まであなたが助けた分なんだよ。
今後もそうやって、シャギーたんの道は温かく続いていくんだって確信してる。
推しの幸せが私の幸せ。
だから、闇落ちしないでね。
これは自惚れなのだけど、自分の死でシャギーたんが闇落ちするんじゃないかって心配するくらいには愛されてる自信があるのです。
落ちそうな時は、あいつ幸せって言ってたなと思い出して欲しい。
頑張れ、負けるな。教会なんてやっつけなくても別にいいけど自分の幸せは諦めないでね。私のために。
そんじゃ、また。
どっかの世界で会いましょう。
アヤメより
【植物メモ】
和名:菖蒲[アヤメ]
英名:シベリアン・アイリス[Siberian iris]
学名:アイリス・サングイネア[Iris sanguinea]
アヤメ科/アヤメ属
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます