第21話

─── ガシッ



思い切り腕を捕まれ、勢いよく連れて行かれるのが分かった。



「え、リクトくん?!」



急な登場に動揺しつつも、私は彼に掴まれている部分に神経が集中していた。


このまま時間が止まれば良いのに、離して欲しくないな、なんてキモイ考えを巡らせたりもした。


ねぇ、リクトくん。好きだよ。


彼の後ろ姿を見つめながら、私は心の中で告白をした。



「リクトくん…?」



しばらく歩き、人気のないところに辿り着くと掴まれていたはずの私の腕はスルッと宙にさまよってしまった。



「アイツと付き合うの?」


「え?」



ずっと私に背中を向けていたリクトくんが私の方に体を向けて、そう言った。


私は突然、切り出された言葉に戸惑いが隠せずにいた。



「少し前まで俺に付きまとってたのにもう他の男かよ。それとも、男なら誰でも良いのか?」



一人で話を進めるリクトくんに困惑して思うように口を動かせなかった。



「お前も結局、俺の表の顔しか見てな…」


「そんな事ないよ!!」

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