18歳のスタートライン

@pokuchan100

序章: 運命のダイブ

18歳の私は好きなもので溢れていた。


学校も友達も部活もバイトも家族もそれなりに好きで、楽しくて、

わりと思い描いている通りの日々を送っていた。


悩みなんてなかった。


やりたいことを見つけては積極的に行って、ただ真っ直ぐ努力して叶えてきた。


友達と3か月に及ぶ大喧嘩を乗り越え、親友になった。


塾講師に無理だと言われた高校に猛勉強して、入学した。


大会には二年生と三年生しか出られないと言われたが、一年生で出場した。


倍率10倍の狭き門をくぐり抜けて、憧れていたバイト先に採用された。


こうやって、私はこの先の人生も自分自身の努力で思い通りにしていけると

心の底から思っていた。

まだ確かな夢はないけど、大学に行き、様々な物や人に出会って深く自分を知り、

情熱を注げる仕事をして、〝この人だ"と思える人と結婚し、子供を何人か産んで、

定年を迎えたらゆったり過ごし、最期は愛してる人の手を握って…。

そんな風に当たり前に思っていた。


でも現実はあまりにも突然で、準備や努力の時間なんて与えてくれない

とてもせっかちなものだった。


何もかも楽しくて希望に溢れていた私は、

高校3年生に進級してすぐの4月末、近所のスーパーのトイレにいた。

震える手で陽性の妊娠検査薬を持ち、何度も説明書を確認していた。


想像もしていなかった未来が私の人生に飛び込んできた。

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