第180話

オレは大きく深呼吸すると、落ち着きながら言った。


「………………………………ふぅ~~~~。ルーク先生がね、許すのも力の一つだよって、教えてくれたんだ。先生はね、オレにこう言ったよ。


『人を憎んだり、恨んだりすることもあるだろう。それに、生きていく上で、どうしても納得のいかないこともあるだろう。だけど、自分までその連鎖に加わってはいけない。人にそういう気持ちを向けてはいけない。もし、他からそういう気持ちを向けられたら、受け止めてあげなさい。そういった気持ちごと、相手を受け入れてあげなさい。そうして、その連鎖を止めてあげなさい。』


って。だから、オレはカインとケインのことを許すよ。」


オレは一度、言葉を切る。


すると、ふと、ロックの顔が浮かんだ。


「それにね、少し前…………………オレも許せないことがあったんだ。傷つけられて、相手を殺そうとしたんだ。でも、ヒューイとファリスが止めてくれた。もし止めてくれなかったら……………………一生後悔したと思う。カインとケインには、後悔してほしくない。“このまま”でいることに、いつか後悔すると思う。変わるには勇気もいるし、苦しいこともあるけど………………二人は大丈夫だよね?一人じゃないし、兵士のみんなもいるから。」


そう言って、オレはニコリと微笑んだ。

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