第176話

オレが女だと知り、カインとケインの空気が緩む。


それを感じ取ってか、ファリスは二人に近付く。


「カインさん。ケインさん。これ以上ヒューイ様とリースに何かするつもりなら…………消しますよ?」


ファリスは微笑んだまま、そう言った。


「な、何言ってるんだ!?」


「そ、そんなこと…………出来るわけがない!」


カインとケインは、再び驚いた顔をする。


「二人には…………はっきり言った方がいいですね。」


そう言うと、ファリスはフッと無表情になり、静かな殺気を放つ。


「俺はこの国のことなんて、どうでもいい。ヒューイ様とリースの害となるなら…………誰でも殺す。例え、この国の兵士でもな。俺にとって…………それが全てだ。」


ファリスが殺気を放ちながらそう言うと、二人は微かに震えていた。


元暗殺者の本気の殺気に、何もしゃべれず、何もできず、ただ体が震えているのだ。


オレも『瞬殺』としてのファリスに、少し戸惑ってしまう。

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