第2話 常套句
和歌が「お兄ちゃん。何処に居るの?」と声を掛けると、パソコンでDVDを見ていた。
圭祐が「あの頃の小さい和歌と、僕だよ。でも、あのなぎさって子は、居なかったな」とふと思い返していた。
和歌が「なぎさって途中だったけど、転校をして来たのよね?確か」と笑って話し掛けた。
なぎさが後ろから「私が何だって?」と即座に尋ねられて、和歌が「あぁ、いやいや、そんな滅相も無い、そんな事言って無いよね?何も」と笑って誤魔化した。
圭祐が「あぁ、そうだよな?そんな何もなぎささんの事では何も言って居ませんよ」と腫れものに触るような言い方をした。
なぎさが「ふーん、なら良いけど」と何も無かったかのように去って行った。
圭祐が「おい、アイツ怖いよな。なぎさ」と相槌を打った。
和歌が「だから言ったでしょう?あんまりつっけんどんな言い方をしたら、私たちどうなる事やら分かったもんじゃ無いのよ」と頬に冷や汗を掻いていた。
なぎさが「さっきから何?あんたらしばくよ」ときつく言われて、和歌が「やばい。逃げろ」と圭祐と一緒に逃げて行った。
なぎさが「チェッ、兄妹二人して、逃げ足の速い奴。今度、会ったら許さない」ときつい眼付きでその場を後にした。
和歌が「はぁー、逃げた、逃げた」となぎさの様子を見て物陰から出て来た。
圭祐が「何なんだよ。アイツ。さすがに怖すぎだろう」と身体を強張らせていた。
和歌が「何か、様子変だよね?何か有ったのかな?」と忍び足で、なぎさの後を追った。
圭祐が「辞めとけよ。余計に心配したって、しょうがないだろう?後で怒られるのが山だぞ」と和歌は制止を振り切った。
和歌が「だって、何で怒っているのか知りたいじゃん。ちょっと見て来るだけだから心配しないで」となぎさの元へと行くと、他の女子達が「ね?あのなぎさって子知っている?あの子ね、結構わがままなの。あまり仲良くしたくないよね?」とありもしない噂を流されて不機嫌な顔をして居た。
和歌が「そうだったのか?あの女子達、なぎさが聞いて無いとでも思うの?傷つくのはなぎさじゃない」とハッキリと物申そうとしたその時、なぎさが「ちょっと私にありもしない噂を流さないでよ。イメージ悪くなるじゃない」と他の女子達に注意をした。
女子達が「げ、なぎさだ。もう、何でこんな所に居るの?ウザイ」と地面に足を叩きつけて逃げて行った。
なぎさは腰を下ろし、その場で泣き崩れていた。
和歌は「なぎさ、今まで悪い奴とか最低とか思って居てごめんね?今度から私が守るから」と心に決めたのだった。
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