第99話
効果音がつきそうな笑みを浮かべる秋に、高木さんはぺこりと頭を下げた。
「宮村さん。お話し中すみませんでした」
「いえいえ」
「まま…」
「ここにいるよ」
美憂が時々目を開けて、私がいることを確認するとまた安心したように眠る。
夢と現実を行ったり来たりする美憂を抱え直す。
「では、若葉さん。また」
「はい。お迎えありがとうございました」
あ、ネクタイが曲がってる。
高木さんも仕事終わりの格好で、黒に近い紺色のスーツを着こなしている。
片手でサッとネクタイの位置を戻してあげると、みるみる内に頬が赤く染まっていった。
「高木さん、大丈……」
「大丈夫ですっ!ありがとうございました」
楓君を落とさないようにしっかり抱っこして、慌てて走って帰ってしまった。
「?どうしたんだろう」
「詩由」
「ごめんね秋。ちょっとだけ美憂抱っこできる?」
「え」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます