第52話

「怖いわよね〜。案外ここから近いから」


明日香さんは手を拭きながら、賄いを持ってきてくれた。


今日は豚汁と白米、それと…


「この唐揚げ!詩由ちゃんに教えてもらってから評判良くって!隠し味に蜂蜜を加えるだけでこんなに美味しいなんて」


「高校生の時よく作ってたんです。お弁当には必ず入れてて」


明日香さんは「私が代わるよ」と美憂を抱っこしてくれた。


ニュースは特集が組まれ、事件現場と中継が繋がっている。


ガンガンガンガン


テレビを見入っていると、お店の引き戸を叩かれる。


半殴りの勢いで、私と明日香さんはビクッと肩を震わせた後、顔を見合わせた。


「びっくりしたわ〜。ごめん詩由ちゃん、荷物だったら行けないから出てくれる?」


「分かりました」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る