第17話

商品コーナーに置いてある小さな冊子を手に取った。


『赤ちゃんのお迎え準備』と可愛いイラストと共に書いてある。


ベビーカーに沐浴セット、服にベビーベッド、抱っこ紐…


その他にも箇条書きでたくさん書いてある。


財布を取り出して、中を見ても明らかに…


「足りない…」


お金が足りるわけない。数千円しか入っていない。


溜め息を吐いて、どうしようと青ざめていると、肩にポンッと手を置かれた。


見上げると、得意気に口角を上げる彼女がいる。


「任せなって。湊のお下がりでよければあげるよ?」


親指を立てて、ニッと白い歯をのぞかせた。


湊というのは、さっき見せてくれた息子君の名前なのだろう。


「本当ですか⁉︎」

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