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第2話
「……え?」
「だから俺、お前の旦那じゃないんだわ」
今の今まで夫だと思っていた。
そんな人に、唐突に言われた言葉が理解できなかった。
不倫の証拠を集めて、話し合いをしようとしていた矢先。
呆然とする私を嘲笑うかのように、かつて書いた婚姻届をビリビリに破いていった。
「それってどういう」
「どうもこうも、これが真実。俺の会社も軌道に乗ってきたし、もういいだろ」
俺の会社って、まだ継いでもないのに。
矢継ぎ早に紡がれる言葉に、私の目は動揺を隠せず泳いでいく。
海外にいるお兄さんとの後継者争いの決着がつかないって最近まで騒いでいたはず。
「でも結婚式だって…!」
「フェイクに決まってんだろ」
目の前で舞い散る紙屑は、あの日の結婚式のフラワーシャワーを思い出す。
笑わせるなと言わんばかりに、テーブルに肘をつけた。
見下す視線がチクチクと刺さる。
震える手を隠すように、私はテーブルの下で強く握りしめた。
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