月明かりの裏側

明るいところ

「はい、こんばんは。おうおう、こんな時間に何してんねん、おちび君」

「……なんや、また見つかってもうたみたいな顔するやん。さては夜歩き常習犯やな。ははーん。なんやマセとると思ったら、真夜中にこっそり家を抜け出して不良ぶっとるんやな? え、なにその憐れむみたいな顔。先生の発想の貧困さを憐れむような顔やめや!」

「ともかく」

「近頃はこーんな狭い土地で行方不明事件が相次いどるんやから。今月入ってもう三件目。青年団の捜索も続いてるのに誰も見つかっとらん。なんや用事があっても夜はやめときや。相方のデカいのも心配するで」

「……デカいのの方が心配? ははっ、確かに。甘いのにつられて知らん人にもほいほいついてきそうやもんな。せやけど、それはそれ。これはこれ」

「さ、帰ろ。お手々繋いで、な」

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