少女の空、異世界の光で輝く。

#1 プロローグ～ひかりside～

　ただ丈夫な身体が欲しかった。

　ベッドの上に縛られることなく、自由にどんなところにでも行けるから。いつからか、それが叶うことは永遠にないのだと諦めるようになっていた。入退院を繰り返しても、身体はずっと病に侵されたまま。もしも、来世があるならば、一生健康な身体でさえいられれば、他には何も望まない。

　だから、わたしは死後、異世界転生者として選ばれたことを聞かされ、女神から力を授けられる時にこんなことを望んだ。

　次の世界では、何があっても病気にもかからず怪我もまったくしないで生きていきたい、と。

　こうしてわたしは、二度と怪我も病気もしない肉体と呪いなどの魔術的な害も一切受け付けない程の膨大な魔力を与えられた。

　七尾（ななお）ひかり。享年十六歳。

　幼少期から病と闘い続け、ついに力尽き一度目の人生を終えたわたしは、常時健康というある種無敵の力と共に第二の人生を歩み始め――。

　やがて、初めての友達と。

　初めての大事な人と。

　出会うことになるのだった。