ポッキーゲーム — ウラバナシ —

『さぁ、今日は11月11日、ポッキーの日と言うことで、街行く人にポッキーにまつわるエピソードを聞いていきたいと思います!』


『突然すみませーん! 今ポッキーにまつわるエピソードを聞いてるんですけど、何かありますか?』


『そうですね、ちょうど1年前、まだ付き合ってなかった頃の今の彼女とポッキーゲームをやったことですかね。その時はお互い恥ずかしくなって折っちゃったんですけど』


『おぉ、いいですねー。とってもピュアで甘いエピソード、ありがとうございました!』


 そっか、今日ポッキーの日か。みんないいな、羨ましい。私もそんな甘い経験したいな。


 このモヤモヤした感じ、なんとかして発散したいな。


 そうだ、今日遊びに行くしその時誘っちゃおっかな。いやでも友達同士でするのは…。


 いやいや、さっきの人も付き合う前って言ってたし、友達としても大丈夫でしょ。うん、なんとかなる。


 だって私たち友達同士だし、全然変なんかじゃないよね。行く時コンビニ寄って買ってこう。



「ありがとうございましたー」


 ほんとに買っちゃった…。店員さんなんかニコニコしてたな。やっぱりポッキー1つだけだとそう見えるのかな。それとも私顔に出てた!?


 どうしよう、恥ずかしくなってきた。こんなんで大丈夫かな、私。


でもここまで来たら後には引けないよね。うぅ、緊張してきた…。


 私から誘っといて私が折っちゃうなんて、意識してるって言ってるようなもんだし絶対折りたくない。だって私たち友達なんだもん。恋愛とかそうのじゃない。


 そう、そういうのじゃないんだ。私たちは友達。ただの友達。


 よし、大丈夫。行こう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る