愛を知らないお姫さまが愛を知るまで~月光る姫の物語
西しまこ
一章「第七階層へ落とします!」
第一話[魅了]使い過ぎ!
「
その
「え? ちょ、ちょっと待って! 嘘でしょう? 第二でも第三でもなく、いきなり、第七? ひどいわ!」
「お前の罪の方は重い。……全く、異能力を無駄に使いおって」
「だって、いいじゃない。せっかくの能力だもの」
「お陰で、トラブルだらけだ」
「見るがいい、
「何よ。全部は覚えていないわよ」
「……まったく」
長い黒髪は艶やかに真っすぐで、その瞳は長い睫毛に包まれて黒曜石の輝きを持ち、唇は柔らかそうな桜色をしていて――要するに
その結果、
そこで、評議会で話し合いがもたれ、
「ねえ、冗談でしょ?」
「私に[
「ああん! ひどい!」
だだをこねていても、大変な美少女だ、と
ともかく、
第一階層に住まうものが、下の階層、それも第七まで落ちるというのは、ひどい屈辱であろう。しかし、本来静寂で変化のない第一階層の混乱を正すためには仕方あるまい。
そして、
「ひどくはない。ともかく、第七階層へ行け」
「絶対に行かなきゃいけないの?」
「そうだ」
「……帰って来られないの?」
上目遣いで言う
「罰としての任務を果たせば戻って来られる。期間はおよそ、第七階層の時間軸で三年だ」
「三年も! ねえ、任務って、何よ?」
「それは、第七階層に行く途中で知らせるとしよう。その他詳細もいっしょに、脳内に直接届くようにする」
指先から、光はぱちぱちと出る。
「えっ! も、もう? 急過ぎない?」
「第一階層の平安のためなのだよ、
「あたしだって、仕事はしてたもん! 魂に歌をうたって。魂は歓びとともに生まれる準備が出来たはずよ!」
「それ以上に混乱をもたらしたのだよ」
「やめて! あん、待ってよ!」
しかし、
「
「
……
この第一階層に出現して、まだ十八年に満たない。
老成したものばかりいるこの第一階層で、非常に珍しい存在だった。生まれも他のものとは少々異なっていた。そのことも、この混乱に影響していたであろう。
少し、かわいそうだったかもしれない。
――そして、情けとしてのギフトを授けるために。
……[
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