第10話 とある創作活動部室
「そこにいるんだろ。こっちへ来い」
いきなり話しかけられて驚いた。まあ、バレてるかとは思ってたけど。
大人しくコーギーの横に座る。
「とある創作……なんだっけ? とある創作部活部室? まあ、なんでもいいや。創作部。アレをどう思う?」
「どうって……楽しそうですけど……」
「殺意が足りないと思わないか?」
「……殺意……は足りない方がいいんじゃないですか?」
「処女作が、『みんなちがって、みんないい。けど、わたしはダメだ』になりそうなお前らしい答えだな」
「な、なんなんですかいきなり!」
「俺は、逃げられない問いを目の前に突きつけられて、なおかつそこに作者の生き様を見たいのだよ」
「……はあ……」
「『みんなちがって、みんないい。けど、わたしはダメだ』略してMMBDにそれがあるか?」
「いや、書いてないし……。ってか、なんでB?」
「butのB」
「kでよくない?」
「kでいいなら、bでもいいだろ」
……意味わかんない……。
「どうせ私はみなさんみたいな大それたものは書けませんよ……」
「犬それたもの?」
「だ、い、そ、れ、た、です。音声で会話してんだぞ、それはねーだろ」
「なんで音声で会話してると思っているのだ。俺の脳内に文字が現れて会話しているかもしれないじゃないか」
「なんでもいいですけどね!! 部活のことはよくわからないんで、好きにしたらいいんじゃないですかあ?!」
「そうは言っても、みんな年上なんだ。俺は長幼之序をわきまえているから、なかなかそんな偉そうなことを言えないんだよ」
「メタ認知ぶっ壊れてんのかアンタ」
「とにかく、小細工無用の殺意ムンムン丸作品が読みたいんだ」
「ナマモノは小細工じゃないの?」
「ナマモノなんかしてないよ。人物像の作り込みがリアルだったからそう勘違いされているだけさ」
コーギーはわざとらしく肩をすくめた。
「……いつか訴えられないように、気をつけてくださいね」
「訴えられる? なんで? 何を? 不定愁訴?」
「うん、お前と話してるときのこの感じは不定愁訴だよ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます