vtuberに恋をする〜少年は底辺から成り上がる〜

JoJo

プロローグ

俺は稲葉孝志《いなばたかし》。


周りからはよくと間違われるが読み方はだ。


はっきり言って世の中なんてクソだ。


俺は頭が悪い上に貧乏だ。


やりたいことをやるにしても金がいるからバイトをしている。


俺みたいにオタクでやりたいことしかできない人間は何をやらせてもダメで、いつもネガティブなことを考えてしまう。


その上、両親は中卒で兄貴は知的障がい者。


小さい頃から家庭の問題で周囲からいじめや差別を受けてきた。


親ガチャも環境ガチャもハズレだ。


いじめのトラウマから、高校からは俺のことを知らない遠いところに進学しているが、もし誰かにバレたらと考えると怖い。


俺はイラストを描くことが好きだ。


特にイラストレーターvtuber、天雲五月《あまくもさつき》先生の配信を見ながら五月先生のファンアートを描くのが楽しみだ。


彼女の配信に出会ってからはずっと彼女の配信とイラストのことばかり考えている。


出会ったきっかけは彼女が描いた他のvtuberのファンアートにいいねとコメントをしたことがきっかけだ。


彼女が描いたvtuberは所謂大手事務所に所属しているvtuberだ。


天雲五月先生も以前は事務所に所属していたが現在は個人勢としてイラストと配信を頑張っている。


俺はそんな天雲五月先生に恋をしていた。


生身の天雲五月先生としてではなく、vtuberとしての天雲五月先生にだ。


俺は学校の昼休み、教室で一人机でタブレットPCを取り出しては絵を描いている。


友達なんて一人もいないから声をかけられることなんてないし周囲も俺が何を描いてるかなんて気にもしない。


昼休み以外は放課後の教室、自宅で描いている。


将来は底辺サラリーマンとして馬車馬のように働きながら精神安定剤代わりにイラストを描き続ける人生だとばかり思っていた。


あの時の放課後の教室であいつが俺のイラストを見るまでは。

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