私の記憶を奪ってきたという女性と対面した。

02

「雨ノ 望未さんでお間違い無いでしょうか?」

その質問に私は少し戸惑い頷く。

「よかった。話をしたいのですが上がっても構いませんか?」

そう言われて『はい、』とまた頷く。

部屋に案内をし廊下を進みお茶を出す。

『どうぞ』と差し出し窺うように見る。

そうして言葉を紡ぐ。

「自己紹介が遅れました。初めまして。私は記憶にまつわる研究をしている会社、いえ、研究施設の者です。

大変失礼ながら名前は伏せさせていただきます。

便宜上、そうですね、私のことは真瀬(マナセ)とお呼びください。貴女様の記憶を奪い続けてきました。方法については説明しても思考が追いつかないと思いますので割愛させてください。

時間だけでいえば...15年ほど。貴女様の年齢はおおよそ26歳ですね。聞きたいことは数え切れないほどにあるでしょう。けれどひとまずは私の話を聞いて欲しいのです。怪しさも極まりないでしょうが最後まで。貴女様の記憶が積み重ならないことも含めお話に来た次第です。」

そこで言葉を区切り私を見て微かに微笑む。その笑みが何を意味するかも分からずに彼女、真瀬さんは語り始める。

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