第1章:「論理的に考えるための思考術」

1つ目のルール:「問題は感情でなく、事実をもとに考える」

世の中には色んな問題があります。人間関係の悩み、仕事のミス、生活上のトラブルなど、様々なことが日々起こりますが、これらを乗り越えるにはまず「感情ではなく、事実をもとに考える」という視点が必要です。なぜかというと、多くの人が何かに悩んでいるとき、それは実は「問題そのもの」よりも「その問題に対する感情」に振り回されていることが多いからです。


例えば、「上司が怒っている」としましょう。この場面で多くの人は「上司は自分のことが嫌いなんだ」とか「自分は何か悪いことをしてしまったに違いない」と感情的に捉えてしまいがちです。しかし、それが本当に「事実」でしょうか?その上司が怒っている理由は、ただ単に仕事の進捗が思うようにいかないからかもしれませんし、別のプロジェクトでイライラしていたタイミングであなたと話したからかもしれません。つまり、こちら側に問題があると「感じている」だけで、事実としては全く違うところに原因がある可能性が高いのです。


こうした状況において、感情に左右されずに事実に基づいて考えるとどうなるでしょうか。まずは「上司が怒っている」という事実だけを確認し、その上で「なぜ怒っているのか」を冷静に見極めます。もしかしたら、仕事上の具体的なミスが原因ではない可能性もあります。あるいは、何が本当に問題なのかを直接聞くことで解決の糸口が見つかるかもしれません。このように、「事実」と「感情」を分けて考えることで、曖昧な不安や誤解が少なくなり、問題解決への道がクリアになります。


人間関係だけでなく、日常の小さな問題や、仕事上のトラブルでも同じです。感情を抜きにして、目の前にある事実だけを一つ一つ確認することが、問題を冷静に見つめるコツです。感情に流されていると、次の一手を考えるのに余計な負荷がかかり、結局解決までに時間がかかってしまいます。逆に、「事実はこう、だから自分はこうすべき」というシンプルな結論に落とし込むことができれば、行動もスムーズになります。


もう一つの例を挙げてみましょう。友人が急に連絡をくれなくなったとします。多くの人は「自分が何か悪いことをしたのかも」「嫌われてしまったのかも」とネガティブな感情に引っ張られがちですが、これも「事実に基づいて考える」ことで無駄なストレスを避けられます。友人が連絡をしなくなった事実に対して、その原因を考えるためのアプローチは、「まずは直接聞いてみる」というシンプルな行動です。もしそれが難しいなら、まずは「他に忙しい事情があったのかもしれない」「単に返信を忘れただけかもしれない」と、複数の可能性を考えて、感情的に深刻になり過ぎないようにします。


また、問題を「事実ベースで捉える」という思考術は、情報収集の場面でも役に立ちます。ネット上で情報を探しているときでも、やたらと「不安」や「恐怖」を煽る記事や動画に影響されやすく、冷静な判断ができなくなることがあります。しかし、感情に流されるのではなく、客観的にデータを見たり、根拠のある証拠を確認することに徹することで、本当に必要な情報だけを得ることができるのです。特にネットの情報は、一度感情に振り回されてしまうと簡単に無駄な情報を鵜呑みにしてしまうので、より慎重になるべきでしょう。


最終的に、「感情を排除して事実を基に考える」という考え方は、どの場面でも応用が利きます。感情を完全に無視することは難しいかもしれませんが、少し距離を置いてみることですべての判断がクリアになります。そして、問題解決の選択肢も見えやすくなり、余計なストレスを抱えずにシンプルな答えに近づけるのです。

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