デート...?
えー、現在。目の前に城山のダチの綾ノ町がいます。で先程、こう言われました。「デートしてみなよ」って。そうです、城山が綾ノ町に言ってしまったんでしょう。アポなしで今来られています。仕方なくお茶を振る舞っています。
「あなたが隣人さん!大瀬って言うんだね!カッケー!」トンでもなくテンションの桁が違う。完全に飲み会の勢いだ。
「なー、ウチの城山に好き勝手に手出ししてるんじゃないでしょうね?」
とんでもなく目が鋭かった。これには降伏せざるを得ないだろう。それに被るように城山が、
「綾ノ町ちゃん...!私も悪いの、セキュリティそんな万全じゃ無かったし、独り暮らしに喜んでプライバシーないことしたし、あと私...変態だし?」
...気づいてるタイプかーい!!!!気づいてるならはよ直せ!変な期待させんな!!あぁまたか、また弄ばれるタイプか...と心の底から思った。
「あっそぉ、城山が言うならいいか」よくないよくない!犯罪者を目の前に「まぁいいか」ってのはあり得ない!!
「それはいいとして、いい加減デートをしなさい。外で」
「綾ノ町ちゃん...まだ早いと思う...私達、出会って間もないと思うんだよね。そっ...そうだよね大瀬くん...?」
「っ...すね...付き合ってすらない...」
「あんたら絶対何かあるな?絶対何かあった時の
「なにもないなにもない。ちょっと城山が猛アピールしてくるだけだ」
「それだよ!!!!」
出会って間もない二週間、城山がド変態ということが完全に確定した。そして俺は犯罪者から脱却(???)できた。また、城山は綾ノ町に監視されることとなった。また(ナニとは言わないが)材料の確保が長引きそうだ。やっぱり俺も変態だな、と城山と綾ノ町の変な会議でまた一つ分かったのだ。
「うがっ、ごっめ、バイト忘れてた!失礼!」綾ノ町が帰った。
さぁそれはさておき、デート的な事をしなければならない。
「何処に行きますか...?画材?生地?普通にショッピングモール?」
「ふむ...家じゃダメ?」
「外出ろって言われてたし...いやぁ、外怖いぃ!」大学行く度に外出歩いてたじゃん、何が怖いの?
「じゃあ、楽器屋行きません?俺、ギターの調整してもらおうと思って」
「なぜ」
「城山が...挑戦っていう機会を与えてくれたから...」
何を言ってるの俺ぇ!そういう雰囲気にしようとするな!
「うっ、嬉しい」デレたよ、可愛い。
「一日ずっと外に出てみませんか...メシ、奢るんで...」
「ありがと...」あー、撫でたい。その髪をわしゃわしゃしたい。
隣町の専門店街。
「あっあの、本当に良いんですか?」
「いいけど」
「嬉しすぎます...こういうの、初めてで...」
「俺も初めて。」
「お互い未経験なんですね!ふふ、嬉しいなぁ...」
最初。アニメ系雑貨屋。漫画の表紙を吟味している
「それ、お好きなんですか?」
「面白くて、夢中で読んでて数年経ってた」
「あるあるですよね、そういうの。」
「城山こそ、意外だな。あの...そういうの...あー、何て言うんだ」
「ふっ」あ、笑われた
「BL。「ボーイズ・ラブ」って言うんですよ、もしかしてカズヤさんってピュアだったり...?」
「いやー、この「平凡な男×影の薄い隣人」って、よくないすか!?
地味な男だけど、あっちのテクはかなりヤバイっすよ!しかも影の薄い隣人はピュアでアッチのことに関しては無知。そんな平凡な男にどっぷり性を叩き込まれる。しかもハードね!柔らかいのからSM系まで!彼が求めればそれに答えて、沢山ねっとり執拗に体で教えられちゃうんですよ♡ぐふふ♡いやぁ、カズヤさんと松代さんにそっくりだな~!」
城山が常識のあるオタクで良かった。小声だった。
「推しのカップリングを聞いた俺がバカだった」いまの自分の顔面は呆れてるか蒼白だろう。ドン引きしている事には間違いはない
「そんな赤面しないでくださいよ、あり得ない話ですから!」
無いとしてもなぁ...怖いんだよなぁ...
松代とは、俺の左隣の住人である。影がかなり薄く、物語同様な性格。
二店目、手芸屋。俺は店外で待つ。コスプレは出来ないから...
「良いの買えた?」
「うんっ!」
「そんなコスプレで着飾るよりその笑顔でそのまま居てくれた方が俺は嬉しい...かな」
「告白?」
「まだしてない!もうちょい待て!」
混まない内にフードコートで席取り。
「ハンバーガー食べるけど、城山はどうする?」
「私、たこ焼きがいいなーって...」
「おう、いいけど。はい金、お釣返してね」
なんか子供っぽい扱いしたかな...
「わかった!」あ、その顔は『ちゃんとお釣返したら撫でてくれそう』って期待してる顔だ。天使。神様へ、城山と出会わせてくれてありがとう。俺、いま一番幸せ。
端から見たら「くっそ、こいつらリア充じゃん。爆破しろ。滅べ。」と思われているのかもしれない。
でもそれでいい!城山に近寄るの男は俺が滅ぼす!
昼食を終え三店目、楽器屋。
「試し弾き出来るんですね」
「してもらえば?その間に俺は修理の手続きしてくる」
「してきます!」
~手続き後~
「ただいま」
「おかえり、終わったよ。暫くギターとはお別れかな」
「ばいばい...」
「一週間後には戻ってきてるかも」
「それはよかった」
四店目...と行きたかったが
「あちゃ、大雨来るぞ」
「もう帰っちゃいます?」
「帰っちゃいましょ。しゃーない」
「続きは家?」
「ゆっくり寝ようぜ...もう俺眠たい」
「運転、私しますから。」
家。雨で静寂が掻き消されて、少し騒々しかった。
「眠たいですね、大瀬さんは夜更かししてました?」
「昨日はな、ちょっと懐かしの小説読んで久し振りに泣いた」
「それはいい夜ですね、きっと充実してますよ♪」
「だったら嬉しいんだがな、俺は不眠症なんだ...」
「だからさっき薬を...」
「そう、医者から出されたやつ。そう話してたら眠たくなってきた」
「寝ちゃいましょうよ!」
「そうだな、おやすみ。」
「♪」
あの後、目が覚めたのは昼の十二時だった。早寝を習慣にしなくては。
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