第三回 始まりは、いつも。(梨緒の視点)
――土曜日。スタンプラリーが始まる。ちょっと遠足気分。
まずは行く先。お姉ちゃんである
「それ、ドバシカメラだよ」と、ヌッと
「ちょ、何処行ってたのよ」と、さっきから探してたのに急に、お布団の中からお顔を出して、それも同じお布団の中で、千恵はちょっぴり頬を赤くしたと思ったら、
「おトイレ。危なくお布団で、おもらししそうになったから」と、言うのだ。
「やめてよね、梨緒まで怒られちゃうじゃない」「大丈夫だったからいいじゃない。梨緒だって昨日、千恵と同じだったじゃないの」「それで、ドバシカメラって何処なのよ?」
我ながらナイス。喧嘩は回避できた。すると、千恵はグスッと泣きそうになって、
「とっても遠いの。きっと迷子になっちゃうよ。ママってホント、スパルタだよ」
と、言ったのだ。遠いって……じゃあ、どうすれば?
「きっと大丈夫。千恵一人じゃし、梨緒も一緒だから。ね、泣かないの」
と、励ますの。すると、千恵のお顔から不安の色が薄れて、
「梅田ってとこ。ママのパソコンにそう書いてあった。確かね……『書くと読む』っていう小説サイトで、千恵と梨緒のスマホから検索すれば……あ、これこれ」
千恵のスマホの画面には、しっかりとそのサイトが映されてた。
「これって『新章たるウメチカ!』って……」
「ママが書いてたエッセイ。そこにあるよ、ドバシカメラの行き方。ウメチカ……梅田の地下ってことかな。ほらほら、ここだよ、間違いなく。ねっ、難しくない感じでしょ」
って、いつの間にか千恵が仕切ってるじゃない。
「ちょっと、さっきまで泣きそうだったのは誰? それ元々は梨緒の役目」
「梨緒のお陰だよ。梨緒が千恵を励ましてくれたから、知恵が湧いてきたんだよ」
よく見れば、千恵って……
「フム、宜しい。ドンとお姉ちゃんに任せなさい」と、感謝の意味も絡めた言葉なの。
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