二人揃ってウメチカ・チルドレンズ!

大創 淳

第一回 梨緒の視点。


 ――時は二〇三〇年。梨緒りおは六歳。小学一年生で、今は待ってるの。



 ここは学校の敷地内。すこやか学級という子供教室に預けられてる。今のご時世は普通に両親は共働き。梨緒のように小さい子は、お留守番も危ないということなの。


 すこやか学級に預けられてる児童は五人……


 両親共働きにも拘らずこの人数から、少子化が進んでることも頷ける。それに児童が狙われる犯罪だって、時代が進むと共に増えていると、あらゆる情報網から聞く話。


 子育てが困難な今の生活事情。AI技術が進んでも解決には至らずで。


 そんな中でも、ママは梨緒たちを生んでくれた。人類を未来へ繋げるため。それから同じ日に生まれた子がいて、その子は千恵ちえという。梨緒と千恵は一卵性双生児。


 見た目は同じだけど、全然違うの。


 例えばほら、このロゴブロック。組み合わせたら……


「橋に然も似たり。レインボーブリッジだけどね、千恵」


「てっきりロボット作るかと思ってたのに何で? 梨緒」


「千恵が手伝ってくれないからじゃない」「何それ? 言ってくれなきゃわかんないじゃない。梨緒ズルいよ」「ズルいのは千恵。コッチ見てたじゃない。見て見ぬふり」「違うもん」と、この辺りから喧嘩になる。いつもそうだけど、特に今日は派手。取っ組み合いから叩いたり蹴ったり、千恵も泣かないけど、梨緒も泣かないから。


「こら! 梨緒、千恵、喧嘩はダメって言ってるでしょ!」


「あー赤鬼みたいな千佳ちかちゃんだ」と、声を揃えて他の三人の児童が指さしていた。


「君たち、この二人の喧嘩、止めてくれてありがと。優しい千佳ちゃんからの御褒美だから皆で仲良く分けてね」と、お菓子を持ってきたの。因みにこの人がね、


「ママ」と、梨緒も千恵もピタッと喧嘩を止めて合唱した。ママのお顔は怖いままで「梨緒、千恵、何でいつも喧嘩するの? ママ言ったよね? 今度喧嘩したら、二人に罰を与えるって」と、言った。……南條なんじょう千佳。この人が梨緒と千恵のママだ。



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