唐突に飛び出した無人駅で出会ったギャルは俺の最高の相棒でした

かみそりきず

はじめに

 ビューと吹き抜ける冷たい風が秋の香りと冬の訪れを告げる。もうそう遠くないうちにすべてが始まったあの日から1年がたつ。あの出会いが、退屈で平凡な俺の社会人生活を大きく変えた。そんな大切な出会いのこの場所を俺とあの子は一時的かもしれないけれど守ったんだ。俺はこの激動の1年の思い出に空を見上げながら浸りこむ。

「おじさん。こんなところで何してんの?」

 無人駅とは思えない少し華やかな待合室で腰かける俺に、薄い金色の髪を漂わせたギャルが話しかける。

「俺おじさんに見えるかな…?」

 言葉の悲壮感とは裏腹に俺の表情はきっと緩んでいることだろう。

「よく見たらそんなことないかも?」

「疑問形はやめてくれ」

 あの日から気が付けば何度も何度もこの場所と自宅とを行き来した。決して短くない距離だ。その繰り返しの中で、気が付けば増えていた大切なものの数々。今日もこの場所で彼女と出会えたのは2人が紡いできた線路のおかげだ。

「今日はどこ行こうか?」

「そりゃ行けるところまで!」

「まあ俺終電あるからそんなに遠くにいけないけどね」

「つれないこと言わないでよ」


 『こんな時間がいつまでも続きますように』


これはそんな願いを叶えるため奔走した1人の社会人と1人の女子高生のお話。

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唐突に飛び出した無人駅で出会ったギャルは俺の最高の相棒でした かみそりきず @masmav25

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