打ち明ける

 ここは屋敷内にある客間。部屋の中は、それほど広くない。

 シェルリアはソファに座り目の前に座るリルナステファと話をしていた。

 テーブルには、お茶とお菓子が置かれている。


「凄い大きなお屋敷ね」


 そう言いながらリルナステファは周囲を見回した。


「そうかしら? 元いた屋敷は、もっと大きくて広かったのよ」

「……そうなのね。そういえばシェルリアは、なぜ家族と一緒じゃないの?」

「呼ぶときはシェルでいいわ。それね……私の魔力のせいかなぁ」


 シェルリアは俯きリルナステファから目を逸らす。


「じゃあ、アタシのことはリルナでいいわよ。魔力って……白き魔女でもないのに?」

「……」

「なぜそこで黙るの?」


 不思議に思いリルナステファは、そう問いかけ首を傾げる。


「リルナステファは白き魔女のことを……どこまで知っているの?」

「そうねぇ……とんでもない知識と魔力を持っている。それと、その力で屋敷に近づく者を襲い殺す。そう聞いてるわ」

「そうなのね。それが本当のことだと……リルナは思っているの?」


 そう聞かれリルナステファは首を横に振った。


「それって、ただの噂でしょ。それに、その噂だって……ここ一年のうちに広がったものらしいし」

「そ、そうね……もしその白き魔女って言われている者が居て出逢ったら……どうする?」

「噂が本当か確かめるかもしれないわね。ただ怖い人だったら逃げるかも」


 そう言いリルナステファは苦い顔をする。


「確かめるって、どんな風に?」

「勿論、戦闘を申し込むわ」

「……もし、それを断ったら?」


 シェルリアはそう言い、オドオドしながら上目づかいでリルナステファをみた。


「シェル? その質問って変よ。まるで貴女が白き魔女みたいじゃないの」

「……もしそうだったら、どうする?」

「本気で言ってるの?」


 そう問われシェルリアは、コクリと頷き悲しい表情を浮かべる。


「えーっと……それが本当ならね。戦いなんか挑むわけないじゃない。こんなに可愛くて優しいのに」

「優しくて……可愛い? 私が……怖いじゃなくて?」

「ええ、どうみても魔女にはみえないわ。でも、なんでシェルを白き魔女なんて云うのかしら?」


 そう言いリルナステファは首を傾げた。


「噂はお父さまが流したのだと思うわ。それに……家に居た時も怖いって言われていたもの」

「それって、もしかして魔力が高かったためなの?」

「うん……そうだけど、それだけじゃない。私は小さい時から魔術や魔法に興味があって勉強してたの」


 それを聞いたリルナステファは、なるほどと納得する。


「要するに家族はシェルの能力に対して恐れた。まぁ……それが世間一般的な考えだけどね」

「そうだね。だから私は、それを受け入れているわ。それに、お父さまは……私のために噂を流してくれたのだから」

「そういう事なのね。なるべくシェルに近づけないように……」


 そう言いリルナステファは悲しい表情でシェルリアをみた。


「そうね……」


 シェルリアはそう言うと、ニコッと笑みを浮かべる。

 そして、その後も二人は話をしていたのだった。

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