白き魔女と黒き女剣士の日常

ミケネコ ミイミ♪

序章

プロローグ★運命の出逢い

「あ〜あ……また、やりすぎちゃった。……テヘ」


 そう言い白に若干薄水色のメッシュが入った三つ編みの女性は眼前に居る黒に薄緑の混ざったストレートでロングの女性へ視線を向けた。


 この白に若干薄水色のメッシュが入った髪の女性はシェルリア・マルロ、十八歳。そして、この物語の主人公である。


「何をやってるのよ。あれほど力を抑えて魔法を使ってって言ったわよね」


 黒に薄緑のメッシュが入ったロングヘアの女性は、ムッとした表情でシェルリアをみた。


 この女性はリルナステファ・ブライム、十八歳でシェルリアの唯一の親友である。いや、シェルリアにとって最愛のひとだ。


 そうシェルリアは女性でありながら同性のリルナステファのことを好きになってしまったのだ。

 ただリルナステファは、全くその気はない。そもそもリルナステファは、シェルリアの気持ちに気づいていないのだ。


「だってぇ……狙いが定まらなくて、イライラしちゃったんだもん」


 そう言いながらシェルリアは瓦礫から飛び降りる。


「イライラって、それだけの理由で強力な魔法を使われたら……この森がなくなるわよ」

「そうだね。ごめん……次から気をつける」

「ええ、それでいいのよ。まあ、この建物が廃墟で良かったわ」


 リルナステファはそう言い周囲を見回した。


「うん、確かにね。あーそうだ! そういえば、もうすぐリルナと逢って一年だよ」

「そうだった? でも、もうそんなになるのね。つい最近のように思えるわ」

「そうだよねぇ。今度、屋敷でパーティーやろうよ」


 そう言いシェルリアは、ニカッと満面の笑みを浮かべる。

 そのあと二人は、その時のことを思い出しながら歩きだした。



 ――……そして一年前に遡る……――


 カルメルスと云う世界の南東に大陸キュルラグジアがある。この大陸の北西に位置するハーメルグ国の北西部にベティナの町はあった。

 そして町の北西側にマルベグの森があり、その奥に白き魔女の住まう屋敷は建っている。

 その屋敷に住まう白き魔女の名はシェルリア・マルロと云い十七歳である。

 シェルリアは若干十歳で魔法の知識を人よりも多く身につけた。いや、それだけではない。尋常じゃない魔力を持っているのである。

 そのため、まだこの屋敷にくる前までシェルリアは家族と住んでいても部屋から出してもらえなかった。

 そうこの世界では人よりも魔力を持つ女性を魔女、男性を悪魔と呼び人として扱われないのだ。

 シェルリアは十六歳になると独り立ちできるだろうと云う判断で、この屋敷に数名のメイドと共に入れられる。

 メイドもまた魔法に長けている者を雇ってだ。そう普通のメイドでは務まらないと思ったからである。


 屋敷に入れられてから一年後、シェルリアは庭で鉄の錯の隙間から森の方をみていた。


「森の空気は美味しいわ。ああ……最初は、ここに来た時に落ち込んでたけど。こんな素晴らしい場所で暮らせるなんて私にはご褒美です」


 そう言うとシェルリアは、リズミカルに歩きながら鼻歌を交え別の場所へ移動する。


「ねぇ貴女って、この屋敷の人?」


 そう呼び止められシェルリアは立ちどまり声のする方を向いた。


「そうだけど……貴女は誰?」


 そう言いながらシェルリアは鉄格子の門の所に居る黒に薄緑でメッシュが入ったロングヘアの女性の下へ歩み寄る。


「アタシは、リルナステファ・ブライムと申します。この森で狩りをしていたのだけど道に迷ってしまって」

「そうなのね。私はシェルリア・マルロです。んー……屋敷に入れてあげたいのですが、メイドたちになんて言われるか分からないので」


 シェルリアはそう言い建物の方へ視線を向けた。


「それは困ったわ。この辺に休む所ってないのかしら?」

「そうねぇ……」

「シェルリア様、見た感じ怪しい者ではなさそうですし屋敷に入れても問題ないと思いますよ」


 いつの間にかシェルリアの後ろに居る濃い緑色の髪のメイドはそう言い微笑んでいる。


 このメイドはラナス・ガント、二十五歳。そして、この屋敷のメイド長だ。


「ラナスがそう言うなら……大丈夫ね」


 シェルリアは喜んでいた。もっと話をしたいと思っていたからだ。

 その後ラナスは門を開けリルナステファを屋敷の中へ入れる。

 そしてシェルリアはリルナステファと話をしながら建物へと入っていった。

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