第18話 ひとつに

 自然と、2人の唇が引き寄せ合い、触れたと思ったらピタリと重なった。

 何度も角度を変えながら柔らかい感触を確かめる唇は、もうこれ以上触れ合えないと思うのに、更にどこまでも深く重なり合った。

 混ざり合い溶け合いたいと願う2人の気持ちが同調し、高まったまま下りて来られない。

 テレビの音に負けないほどの水音だけを互いの耳に響かせていた。


 唇で繋がったまま、もつれるように祐希のベッドに移動した時には、互いを隔てる衣服は邪魔とばかりに毟り剥ぎ取り合い、2人は全裸になっていた。

 居間からの灯が僅かに届くベッドの上にドサっと裸で倒れ込み、もつれながら肌という肌を密着させ、唇を貪り合う。

 上になり下になり重みさえ感じぬほどに絡んでいると、南條の性器の硬さが増し、濡れた感触が腰や太腿を掠めるのが肌から感じられた。

 自分のも同じように南條の肌を濡らしているだろう。恥ずかしいが、今は期待感の方がずっと強い。好きな人と求め合うのが堪らなく嬉しい。

 南條は祐希の身体を抱きすくめるように背中から腰を摩っている。時折、尻たぶを揉む手が心地よく、尻の奥がキュンとする。

 祐希の手が、愛しい南條の分身に自然に伸びた。

 怒張した南條の性器の濡れた先っぽを掠め

触れようとした瞬間、唇が離され、覆い被さる南條がくるっと祐希を転がしうつ伏せにする。

 濡れた南條の大きくて丸い男根の先を、祐希の後孔に擦り付けてきた。刺激された孔が喜んでいるようだ。

「んーっ、ち、ちょっと待っ、あっ」

 まさか、このまま入っちゃうと身構えたが、入るわけもなくすぐに離れる。代わりに男らしいゴツゴツした指が孔にツプっと入りこんだ。

「アッ、あぁっ」

 うつ伏せになった祐希の腰を持ち上げるようにしていた南條の左手が、性器を握る。

「あっ、待っ、佟っうっ、あぁっ」

 南條の右手はさっきから尻の間にあり、何度も指が出入りしているうちに、いつの間にか何本かわからない指先が体内で蠢いていた。

 そうして指を増やしては辛くなった気を逸らせるために、吐精寸前まで性器を刺激され、南條が納得できるまで祐希は執拗に拡張されるのだった。

「アッ、ぁああああっ、アッ、アッ」

 ズブッ、ズッ、ズッと、南條の先端が孔を広げながら祐希の中に進入してくる。

「ッ、痛い?」

 動きを静止し南條が聞いてくれるが、痛いよりも、南條の先端に擦られ押されると、堪らなく良い所がある。

 拡張する南條が、指で広げながら刺激してきたそこは噂の前立腺だろう。俺って前立腺で気持ち良くなれるんだ。

 首を振り、涙目を向けながら正直に伝える。

「痛くないよ。佟慈郎さんが大事に広げてくれたから」

 時間をかけ南條が徐々に広げた孔は確かに、指を3本中で自由に動かせるほどにはなっていた。

「祐希を傷つけることは絶対にしたくない」

と何度も言いながら、慎重に準備してくれた。

 祐希の返事を聞き安心した南條は、進入を再開すべく、柔らかく食い締めてくる後孔に、グググッと小刻みに己を押し付ける。

パチュんと南條の雄の根本と祐希の尻が当たる。

「全部入ったよ」

 南條の拍動が、南條の雄や祐希の襞を伝わり感じられる。あの硬い陰茎に張り巡ったスジを想像させ、また腰の奥が喜びに収縮した。

「あぁ……どうしよう、嬉しくて気持ちいい」

 思わずそう言うと、南條が、ぐっと奥歯を噛み締め辛そうな顔をする。

「祐希さん、我慢してるんだから煽らないで」

「我慢ありがとうね。でも大丈夫だから……」

 微かに動く振動でさえ、繋がる部分から伝わり、新たな刺激を欲していた。そんな祐希の欲が垣間見えたのか、南條も自分の欲に忠実になる。

「もう、我慢できないよ」

 南條はそう言うと、馴染むまでと、動かず我慢していた腰をゆっくり小刻みに揺さぶってきた。 スムーズに動くことを確認できると、抜き差しを開始する。

「あっ、あっ、ダメッ、いい、いっ」

「そんなにいいんだ、祐希さんっ。俺もっ、気持ち、いいよ。俺達っ、相性、最高だね」

 南條が腰の動きを更に上げながら、息を弾ませ嬉しそうに言う。 

「ぁ、やだその動き、イィ、あぁっ」

「っ、煽らないでってっ言ってるっ」

 南條の腰が大きく早くなり、時折耐えるような息を漏らすのが色っぽい。限界が近いのか。

 祐希の脚を広げていた南條の手が片方、祐希の雄に絡み付き、扱く。

「一緒に達こう」

 腰の動きは、更に大きなグラインドとなり、祐希は前後両方からの刺激に直ぐにでも射精そうだ。

「もうダメ。イク、達きたい、あっ、いーっ」

 祐希は自分のに腹に盛大に精子を撒き散らす。

 同時に腹の奥に熱い迸りを感じた。

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