本当の恋に出会うまで
皆未 智生
第1話 プロローグ
あれ、何だこの白い花吹雪は。
今は秋じゃなかったっけ。
あれ、大体俺は、仕事から帰った後、ちゃんと自分のベッドで寝ていたはずだ。何でこんな所にいるんだろう。
白い花といえは、思い出したくない出来事を思い出す。高校時代の裏庭に咲いていた、あれはハナミズキだったっけ。
花がほとんど落ちた初夏、1個上の先輩に告げられた言葉。
あ、これは夢だな。だって、俺は俺なのに、そこにもいる。学ラン姿の学生時代の俺だ。
そうだ、もう1人そこに立ってる学ラン姿の先輩が、俺に向かって言うんだ。
「聞くな、今すぐその場を立ち去るんだ」
叫んでみるが、あ、これ俺の声聞こえてない。
先輩が俺に告げる。
「俺、お前とのこと、一時の気の迷いだったんだ。もう話しかけないでくれ」
あぁ、ショック受けて呆然としてる。
いつの間にか昔の俺の視点に変わる。
「あ、待って先輩行かないで」
悲しみが心を埋め尽くす。
白い花びらが舞い散る中、1人立ったまま泣き続けていた。
アラームが鳴り響き、ハッとして目が覚めた。いつもの朝だ。
「あぁ…」
深いため息を吐き、顔を擦る。指先が触れたこめかみが濡れている。
「はぁ…起きて準備なきゃ」
声に出して言い、やっとベッドから起き上がることができた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます