プリンセスララの初めての異世界冒険

石川詩空

第1話 プロローグ

初めまして、わしはチック。

魔法が溢れる世界、魔法界の中心にあり、魔法界の時を司る時計塔じゃ。

この世界に迷い込んできたお主らに、1つ、暇つぶしに面白い話でも聞かせてやろう。


魔法界には魔法使いがたくさんおるが、今からわしが話す物語の主人公は……雪を司る国、ネージュのプリンセス、ララじゃ。


じゃが、わしが全部話すのも勿体無いのう。

せっかくじゃから、ララ本人が話すのはどうじゃ?


なになに?


「それが良い」


じゃと?

ふん、ノリノリに返事までして。迷い込んできたわりには、随分この世界に適応するのが早いのう。

ああ……いや、こちらの話じゃ。


さて、決まりじゃな。

じゃが、ララに会いに行くには、ある呪文を唱えなければいけないのじゃ。

一緒に唱えてくれれば嬉しいのじゃが……。


なになに?


「唱えるよ」


じゃと?

嬉しいのう。

ではいくぞ、せえの!


「世界の時を司る時計塔チックが命じる。時の力よ、雪国のプリンセス、ララのもとへ我らを連れて行け」


風が体を強く吹き付ける。

周囲の動きが段々とスローモーションになっていく。

気付けば、チックの姿は消えていた。

瞼が落ちていく、寝てはいけないと思っていても。

体はが鉛のように重く、意識は遠のいていった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る