第256話

それから数年して二世帯住宅が建ち、私たちが結婚をして、子供が三人できて。



その末っ子がパパの部屋にあるデスクの引き出しからあるもの・・・・を持ち出してくる未来が私には待っているのだ。



『ママー!パパの引き出しからママの下敷きが大漁に出てきたー!!』



そのママの下敷きは、ラミネーターでラミネートされたものであって。



一枚は私からの手紙。一枚は私の水着と浴衣写真。一枚は結婚式の写真。一枚は妊娠中……とまあこんな具合に負の産物が発掘されてしまうのだけれど。



一番下にあった“下敷き”には、何年も経っているにも関わらず肝を冷やしてしまうことになるのだ。




『ねえ、なんでこの下敷きだけママはみんな泣いてるの?』

 


大学で泣いている写真。



私が佐渡先生に捨てられて大泣きしていた画像。



それは、一枚じゃなかったのだ。




『このぜんぶのママ、かわいそう。』



末っ子の息子が、そのかわいそうな“下敷き”をぎゅっと抱きしめた。ざっと10枚は並べられた私の泣き顔を。




六神のゆがみ具合は、一体いつになったら理解できることやら。










【fin】

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