第177話
「好きにすれば?アンチからの嫌がらせだと思うだけでしょ。それにそういうのってマネージャーが管理してるし。」
「ならSNSで拡散するのはありって?」
「あははっ、拡散されるわけないじゃん!」
俺はスマホ画面をタップし、画面を切り替え、もう一度水絵に見せて言った。
「この画像つけても拡散されないって?」
それは水絵の画像だった。嫉妬を煽れればと春風にも見せた、俺の部屋で、俺のスマホで水絵が勝手に自撮りしたもの。
背景に写っている部屋を見れば、生活感ある個人の部屋だというのが分かるため、プライベート感は充分見受けられるはず。
「……それ、ちと君の部屋の内装がまる映りだけど。」
「別に?部屋くらい拡散されたってどうってことないし。」
「ふぅん、ならSNSに上げてみれば?」
「ああ、例えRainLADYの育ての親が、一般男性にセフレを強要してるってSNSで流れても、RainLADYの活動にはなんの支障も出ないって、そういうわけね。」
「…………」
眉間にしわを寄せ、どこか思いつめた表情をする水絵。やっと人間らしくなってきて非常に悪くない。
「今さら私の悪い噂が拡散されたところで、どってことない!だって私、枕営業したり反社会的勢力と繋がりを持ってた女だよ?それでもRainLADYは現にトップに立ってるじゃん!」
「それは表向きの空言じゃないの?少なくともRainLADYのファンは、あんたを養護するような発言をしてるんですけど。」
俺はスマホ画面をいじり、RainLADYのファンが運営するファンサイトのスレッド一覧画面を見せるため、机にスマホを置いた。
RainLADYのファンは今だってRainLADYを守るために、レオン・水絵・サニーが事務所をクビにされた本当の事実をネット上で必死に訴え続けている。
それを俺が拡散するせいで、ファンを裏切ることになるわけだから、もう水絵に選択肢はないはずだ。
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