第100話

「実来ちゃん、はよーっす。」


「おはよー。今日も顔色悪いね〜池駒。」


「おうよー、昨日3時に帰って6時に起きたから元気ビンビンだわ。」 




駅から会社までの出勤途中で、池駒に出くわした。



今日もTシャツに作業着を羽織って、男気溢れるベリーショートがよく似合っている。



池駒の物流部は、深夜の倉庫の見回りなんかも仕事の一貫になっていて、クライアントの守秘義務や防犯を考慮し、外部からの委託警備員は決められた範囲のみになっている。



だから寝る時間どころか、家に帰る時間もほとんどない。



中堅でも、まだまだ警察学校よりも厳しい現実を生きているのだから池駒は本当に凄い。体力勝負もいいところだ。



だからね、彼女を作る暇もない池駒を当て馬にするのは可哀想だと思うのだよ、まゆゆ。



「池駒って運動部だったの?」 


「中学までは真面目に野球部入ってて、高校から不真面目に野球部さぼってた。」


「さぼるなら辞めればよかったじゃん。」


「辞めたくても辞めさせて貰えなかったんだよ。」


「ってことは優力選手だったってこと?」


「まあそれなりには?二刀流目指してたし?」


「目指してたのにさぼるって。その真意は?」


「自分より上の奴らが現れたから。」


「……10点。あるあるすぎて話の間が持たない。」


「青春漫画にありがちな俺ね!もっとひねりを効かせられるよう対策練っとく。」

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