第89話
餌に食いついたとなれば善は急げだ。どうでもいい女の事情はとっとと終わらせて帰るのみ。
「よし、あんたはその椅子に座れ。」
「え、えっ、なになにっ、なにするの?面接?!」
「ああ、俺はベッドから見ててやるから、」
部屋の角にある丸テーブルの椅子を引き出し、水絵がベッドに向け椅子の向きを変える。
座ったのを確認すると、俺は脚を組み、見下すような態度で口角を上げ言ってやった。
「俺は好きな女の名前呼びながら見ててやるから。あんたはそこで一人でやってろ。」
「へっ?!」
「俺の欲望をぶつけりゃいんだろ?なら俺をそこから誘ってみろよ。」
「えー!!六神君のプレイ、ドえすすぎー!」
「すんなりセックスってのも愉しくないし?俺も回り道をするのが趣味なもんでね。」
実来と付き合うために散々回り道をしてますから。
「あはっ!なにそれマジぃ?!でもちょっとえろそう。」
「エロいかどうかはあんた次第。やれるもんならやってみな。」
「…へぇ~いいね、六神君!本気でいいかも。」
こういうくだらないことはすぐに思いつく俺。もしこれが器用だというなら、実来を落とす手建てを知らない俺はなんなのかと問いたい。
水絵は「俄然やる気出てきた」とくだらないゲームに見事はまり、本当に一人でやり出すから、俺は冷めた目で静観した。
「まじでやるとか引くわー」と言えば、俺の嗜虐心を煽らせようと「もっといって。」とか言う始末。
だから俺は、ここぞとばかりに好きな女の名前を呼んでみることにした。
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