第36話

「大体なあ、げろまみれのお前に加え、げろまみれの服まで手洗いした俺の母性愛に深く感謝しようとか思わないのか?!」



母性、愛?



約70%が海水を占めるこの地球に、母なる大地を感じることは困難だと常日頃から感じている。そんな屈折している私が、水分約70%でできている六神に母性を感じろと?



「それでも洗濯機はお前のげろで臭くなるんだぞ?!」



さっきから聞いてりゃこの男はげろげろげろげろと。

私の吐瀉物としゃぶつ素手で触って頂きありがとうございましたあ!



「げろまみれ後でも裸の彼女隣いて抱けないとかあんたEDなんじゃない?!下半身ポシャってんじゃない?!」


「ハア?!この期に及んでまだげろ沼セックスしろとか言ってんのか?!」


「あんたもし相手がギャルゲー美女だったら絶対吐瀉物まみれでもセックスしてるから。」


「どんな発想の天才だよ?!もういっそお前『ギャルゲー美女が吐瀉物にまみれた件』てタイトルのラノベ作家にでもなれ!」



伏せ字を必要とする語彙が、清々しいほどに飛び交っていた。


 

「あんたがEDだって証拠を差し出さない限り私はこのまま首つって死ぬから!じゃなきゃ私の身体がむくわれない!」


「アホか!俺はEDじゃないんで?!そんな証拠はどこ漁ってもありませんけど?」


「今すぐED証明書交付センターでエビデンス交付してきてもらってよ、ねえ頼むからあぁ!!」

 


多分、発想力と頭のおかしさでは私の勝利だ。



でも別れる原因となる一言を吐いたのは、六神の方だった。

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